背後から迫る見えない雨
周囲は完璧に囲まれていた。
これでは、俺自身も逃げ道がない。
話かけたところで、助け出せない。
だからといって放っておけない。
せめて、あの人自身に狙われていることを伝えなければ。
そう思い、走り出そうとした瞬間、後ろから腕を掴まれ引っ張られた。
こんなところで、捕まってたまるか。
振り向いた瞬間、そこにいたのは警察ではなく、種岡だった。
なんでここにいる?と聞こうとする前に、口を押さえられ、
「しーっ。静かにして!」
と怒られた。
こんなことしてる暇はないんだ!
一刻も早く助けなければいけないのに。
そう思い、手を振り払おうとすると
「暴走しすぎ。
もう少し慎重になったらいいと思う」
と言われ、我に返った。
「いいから、来て」
腕を引かれたまま、近くの公園に連れて行かれた。
おかげで発光候補者からは離れてしまった。
「廣田くんの気持ちもわかるけど、さすがに今のは危険。
誠真さんも言ってたでしょ?
まず自分の身を第一に考えてって。
私にも言ったじゃない。
慎重になれって。
今、一番自分を見失ってるのは廣田くんじゃない?」
反論も出来ないくらい、ど正論が返ってきた。
「確かにそうだ」
まさかの種岡からの説教に、反省した。
「助けたい気持ちはわかるけど、それで私達が捕まって、誠真さんやトキさんや晴希達に迷惑がかかる方がもっと大変なことなんだよ。」
発光者を増やしたくないという、目の前のことばかりに気持ちが先走り、その先のトキさん達のことはすっかり抜けていた。
「すみません」
そこに誠真さんからメッセージがきた。
『さっきの候補者、今日は発光せずに家に着いたみたい。しばらくこっちで監視しておく。
ただ、今回みたいに無茶したら、もう2人には依頼しないから、今後は気をつけて』
と誠真さんからも怒られた
「種岡はなんでここに来たんだ?」
その質問に少し機嫌を損ねながら
「誰かさんが発光対象者の近くにずっといるから、暴走を止めるために来たの!
この間から様子おかしかったし」
心配かけているのにも気付いてなかった。
「悪かった。ありがとうな。」
そうお礼をいうと、種岡は
「こういう時、晴希ならアポロチョコ買ってくるのになー」
とわざとらしく言った。
「あー、はいはい。買わせて頂きます。」
「ちょっと、なによその面倒くさそうな言い方!
ちょっとは感謝しなさいよ」
「それはそれは、本当にありがとうございます」
「全く心こもってないじゃない!」
と言い合っていて、周りが見えていなかった。
公園の影の怪しい人物に。
「こちら追跡班より本部。
発光者の周囲に怪しい2人を確認。
調査願いたい」
「了解。
対象者の個人番号を共有お願いします」
「承知しました」




