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やまない雨

誠真さんに頼まれてから、俺達はある人物を監視することになった。



監視と言っても、ずっとついてまわるのではなく、相手がどこにいるかGPS上で確認するというものだ。


「相手に怪しい動きがあったら教えてくれ。」

と言われ、


「どうやったら怪しい動きか判別がつくんですか?」

と聞き返した。


「人って、だいたい同じ行動を繰り返す。

例えば、家から駅まで、駅から学校まで、決まった道を通って行く人が多い。

何個か行くルートは知っていても、自分の決めたルート1ヶ所を利用する。

まぁ、これは心理的なもので、日常無意識に行っている。


だから、いつもと違うルート通っていたり、逃げるように早く移動していたり、何か変だな?と違和感を感じるだけでいいんだ。


その少しの差で。助けられる人がいるかもしれない。」



そう言われ見ているが、特に違和感は感じない。

というか、ただの高校生が変化なんてわかるのか?



監視している人物は大学の教授。


昼間は大学で授業をし、その後研究室で専門分野を調べているらしい。


その専門分野が、ナノチップということだ。


先日はナノチップに関する新たな事実がわかったと発表した。



新たな事実がどんな内容かは、まだ世間には知らされていないが、政府にはいい情報じゃなかったんだろう。


それで政府に目をつけられているらしい。



大学にいるから人との接触が多く、目立つところで発光すると、目撃者も多くなる。



その前に、発光を止めたいと誠真さんは考えている。



この2週間、GPSを追っているが、おかしなところはない。



『なぁ種岡、本当にこの人発光すると思うか?』

とメッセージを送る。


最初はいつか発光するかもと、神経を尖らせてGPSの近くに監視カメラに接続して見ていたが、あまりにも何もなさすぎて、もう監視カメラも見なくなっていた。



『ただの大学の教授って感じがするけど、何もなかったらそれでいいじゃない。』


と返事が返ってきた。



俺と種岡で同じ人物を監視しているが、2人とも異変を感じられない。


むしろ、勝手に日常を覗いているようで申し訳ない気持ちになっていた。



そんな時、発光者が逮捕されたとニュースが流れた。


今回も発光してから数分での確保に警察のお手柄と報じられていた。




発光者は俺達が監視していた教授ではなかった。



別の人が発光したことにより、俺の頭の中で、この教授は発光しないんじゃないか?という疑念さえ出てきた。



きっと誠真さんの勘違いだと思ってきた。



この教授の行動に一切おかしなところはなく、政府に不利になるような人物とは思えない。


だから、大丈夫だろう。



そう高を括ってしまった。




部活を終え帰宅後、種岡から

『教授が発光して、逮捕された。』

とメッセージがきた。



きっと大丈夫だろうとGPSの監視を片手間にしてしまっていた。

どんな動きをしていたかも見ていないうちに発光してしまった。



まさか本当に発光するなんて。



信じられなくて、逮捕されたという場所まで行ってみた。



そこは教授がいつも通らない道で、人通りが少ないところだった。


発光したのは、洋菓子店の前を少し過ぎたところ。


踏み潰されたケーキの箱が道の端に落ちていた。


きっと確保される時に争ったんだろう。


中にはぐちゃぐちゃになったケーキと、その上に乗っていただろうプレートが半分に割れ落下していた。


プレートには

『HAPPYBIRTHDAY ミク』

と書かれていた。



きっと帰って、家族の誕生を祝う予定だったんだろう。



なのに、何故逮捕されなければならない?


なぜ発光させられた?



監視している間しか知らないが、教授は発光するような重罪を犯す人物ではなかった。



生徒が困っていたら手を貸し、間違っていることにはきちんと注意し、信頼されていた。

休日には家族と出掛け、とても幸せそうに笑っていた。


あまりにも優しく、真っ直ぐな人だった。


なのに、ナノチップに不利な情報を持っているというだけで、発光させられないといけないのか?



悔しかった。


政府の勝手なやり方にも。



高を括って監視を軽視してしまった自分にも。



誠真さんからメッセージが届いた

『申し訳ない。ある程度、候補者を絞って監視してもらったのに、発光してしまった。

2人にも協力してもらったのに。』



『誠真さん、すみません、俺のせいです。

今日、監視をちゃんと出来ていなかった。』



『違うよ。君のせいじゃない。

予想より政府の行動が早かった。

それに、ここ最近発光者を立て続けに逮捕している。

何かあるかもしれない。


ちょっと調べて見るから、何かわかったらまた連絡する。』



誠真さんにそう言われても、自分の不甲斐なさが拭えなかった。

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