雨の色染まる前に
『次の日曜に2人とも集まれるかな?
場所はここ。
一緒に来ると目立つから、時間ずらして来てくれると助かる』
そうメッセージに書かれ、GPSに場所が表示された。
場所は、前にトキさんと初めて話した場所。
あの、お世辞にも綺麗とはいえない家だ。
このタイミングで、集まるってことは、やはり発光者が増えている事と関係しているのか?
誠真さんなら、ナノチップの異常があればすぐ気付くはず。
でも、この数日、俺達にそういった連絡は来ていない。
ということは、別の用件?
そう思っていると、種岡からメッセージが来た。
『誠真さんのメッセージ読んだ?
私12時頃には行けそうだけど、そっちは何時くらいに行けそう?
時間被りそうだったら、ずらすけど?』
種岡は12時か。
『メッセージ読んだ。
俺は13時頃に行く』
そう返信した。
ーー日曜
13時前に到着した。
中に入ると、誠真さんと種岡が話していた。
到着した俺に
「あ、来た。
これでみんな集まったね」
と種岡が言った。
俺が椅子に座ると、
「じゃあ、みんな揃ったところで、早速本題に入ろうと思う」
と誠真さんは話し出した。
「2人に集まってもらったのは、手伝ってもらいたい事があるんだ。
ここ最近発光者が増えているのは知ってる?」
やっぱりその話か、と思った。
「昨日、聞きました」
と答えた。
種岡は
「ニュースでなんとなく。
でも、そんなに大騒ぎしてないし、すぐに捕まっているから大丈夫かなって」
とあまり重要視してないようだった。
「そうなんだ。
発光者が劇的に増えたわけでもないし、逃走中というわけでもない。
ただ、発光してから驚くほど逮捕が早い。
まるで待ち構えていたかのように、すぐに捕まっている。
何も知らない人からすると、迅速な対応だなと関心するくらい。
あまりにも早すぎて、ニュースにもならないくらい。
だから、僕も気付かなかったり、気付いても、もう逮捕されている状況だ」
「警察がそれだけ早い対応出来てるって事じゃないんですか?」
と種岡が何がおかしいの?と聞き返した。
「通常、発光者が確認されてから平均15分から30分で逮捕されている。
これは、ナノチップが重罪行為を認識し、発光と同時に警察や警備ロボにシグナルが送られているから。
発光する事により、一般人にもわかりやすくかつ監視カメラからも見つけやすいようになっている。
そのため、こんな短時間で確保出来ているんだと思う。
それがここ最近、発光して平均5分から10分で確保している。
あまりにも早い確保にニュースで取り上げない、または『迅速な警察の対応より発光者は捕まりました。おかげで街は平和です』的な宣伝になっているように思う。
これは明らかにおかしい。
そして、昨日、決定的な映像を見つけた」
「「俺はやってない」」
俺と誠真さんが同時に言った。
それを聞いて、種岡が驚く。
「え、ちょっと待って。
じゃあ、晴希みたいに無実の人が発光させられてるってこと?」
種岡は、疑問を誠真さんにぶつけた。
誠真さんはすごく小さく首を横に振り
「ここからが問題なんだ。
昨日発光した人物は、『やっていない』と叫んでいた。
確かに重罪を起こしたような形跡はなかった。
ただ、ここ数日の行動を遡ってみたらネット上にあるコメントが出てきた。
『やはりナノチップは完璧じゃない』
そう書き込みしてあった。
彼はこの書き込み以外にも、ナノチップに関する書き込みをしていた。
『ナノチップを使わなくても生活出来る』
『ナノチップを義務化する意味は?』
『ナノチップは命を脅かすかもしれない』
など、様々あった。
まぁ、世間的には気にも留められてないようだったけど」
と小さく溜息をついた。
「じゃあ、なんで発光したの?
重罪も犯してないし、ただ独り言呟いてただけじゃない」
「ここ最近の発光者の共通点は、
ナノチップについて不利になるような行動、言動を起こした人物ばかりなんだ。
そして、その全員が、発光して5分から10分という短時間で捕まっている。
これは、もう発光を待ち構えていたとしか思えない」
「発光するのがわかっていたという事ですか?」
俺は、恐る恐る誠真さんに訊ねた。
「たぶん
『わかっていた』というより、
『発光させた』んだよ。
僕やトキさんが想像するよりも早く、状況が悪化していた。
もう、発光システムが悪用されていたんだ。」
俺も種岡も息をのんだ。
堅元を止めた事により、もう無実の発光者は出て来ないと思いたかったが、すでに発光システムは悪用されていた。
「誠真さん。
これは止められるんですか?」
誠真さんは強い眼差しで
「そこで、君達に手伝ってほしい事がある。
次に発光するであろう候補者を絞り出した。
その人物を監視してほしいんだ。」
俺達に頼んできた。




