陽だまりの中
何故発光させられたか、原因がわかり納得した。
だが、舞華が責任を感じているとはいえ、トキさん達に協力するという事は、危険と隣合わせに間違いない。
それに、一番心配なのが、
「トキさん、舞華の事だから勝手に行動しますよ?
いいんですか?」
絶対に言うことなんか聞かない。
そう確信していた。
だが、トキさんと舞華はニヤニヤしながらこっちを見ていた。
「大丈夫。心配するな。
彼女だけじゃない。」
「どういう事ですか?」
「晴希、安心して。
廣田くんも協力してくれるから」
大地の名前を聞いて驚いた。
「えっ!大地が!
じゃあ、大地も知ってるのか?
俺が生きてること。
もしかして、ここに来てるのか?」
辺りを見渡すが誰もいない。
「今回の一件は、彼のおかげで特定出来たんだ。
だから、晴希が生きてる事も知っている。
ただ、彼はここには来てないんだ。
2人一緒に向こうの世界から連れて来るのは、さすがに怪しまれる可能性があるから、ひとりだけにしてもらったんだ」
トキさんからそう聞いて
「そっか。
大地は来てないのか」
少し落ち込む。
久しぶりに大地に会いたかった。
「廣田くんが、晴希によろしくって言ってたよ。」
舞華なりに気を使ったのか、励ますように俺に言った。
「ひとまず、そういう事だから。
晴希には知っておいてもらいたかったんだ。
発光して以来、信用出来る人なんかいないと思っていただろうが、ちゃんと晴希のこと信じてる人はいる。
安心しろ」
トキさんはそう言った。
「ありがとうございます。」
そう言い、トキさんと舞華に深く頭を下げた。
その頭はしばらくあげられなかった。
そして、俺の足元には、大粒の雨が落ちた。
舞華はそのあとすぐに帰って行った。
あまり長居すると家族が心配するからと。
家族にはもちろんこの事は言えない。
だから、
「晴希のお母さんには申し訳ない気持ちになる。
でも、その分晴希が帰って来れるようにするのが私の目標だから」
と強気の発言を残し帰って行った。
その帰り道、トキさんは舞華に
「いろいろ抱え込ませてすまない。
無理に協力しなくてもいいんだ」
と言うと
「いえ、手伝わせて下さい!
私、何にも知らずにナノチップを使ってたから。
あるのが当たり前過ぎて、便利だとかも通り過ぎて、あって当然だと思ってた。
でも、不具合とか、故障とか、機械なんだからあるはずなのに、完璧だからないって思い込んでた。
政府の言うこと鵜呑みにしてた。
人間だって完璧な人なんていないのに。
あの日、セイマさんに初めて会って、トキさんの事、ナノチップの事いろいろ教えてもらって、これ以上何もしないなんて出来ない。」
舞華は言い切った。
「そうか。ありがとうな」
そう言い優しく微笑んだ。
「こちらこそ、晴希に会わせてくれてありがとうございます。
これもわざわざ作ってくれたんですよね?」
そう言いながらティアラを指差す。
「作るのは楽しいからいいんだ。
開発者ってのは、作るのが好きだからな。
それより、これから忙しくなるぞ。
困ったら俺か誠真に聞いてくれ。
無理だけはしないように」
トキさんが心配して言ってくれた。
「なんかお父さんみたい。」
と思わず口走ってしまった。
その一言を聞いて、トキさんから肩に優しいパンチが飛んで来た。
「俺はまだ若い。
お父さん扱いするな」
と怒られた。
そんな他愛の無い会話をしながら帰った。
舞華が帰ったあと、俺はスミさんと話した。
俺達でも、ここから出来る事があるはずだと。
ナノチップがない俺達は、データ処理などは出来ない。
でも、それ以外で出来る事が何かないかと。
向こうでみんなが頑張っているのに何も出来ないのは、もどかしい。
守られてばかりで、自分たちでも出来る事はしたい。
その考えは一緒だった。
そして、その話をしていると
「その話、私達も入れて」
と奏さんの声のする方を振り返ると、みんながいた。
「みんな、想いは一緒だよ。」
ばあちゃんが優しく言った。
舞華を送ったトキさんが帰って来ると、みんなでトキさんを囲んだ。
急にみんなが集まって来てトキさんが驚く。
「なんだ?急にみんな揃って」
「トキさん。
俺達もここで出来る事あるはず。
ただ、待ってるだけなんて嫌だ。
俺達にも出来る事、教えて下さい」
全員で直談判した。
それに驚き、止まるトキさん。
あまりにも反応がないため、
「トキさん?
聞こえてます?」
と呼びかける。
「あ、あぁ。すまない。
みんなの気持ちはありがたいが、これ以上迷惑かけるわけには…」
その一言に反論するように
「なに言ってるんだい。
これだけ一緒にいるんだ。
私達、もう家族だろ?
助け合わなくてどうするんだい?」
とばあちゃんが言った。
その言葉に、トキさんは困ったように笑い
「そっか。
家族か。
さっきもお父さんとか言われるし。
そうか。家族ってこんなんなんだ」
自分を納得させるように呟く。
「何でもいいんだ。
ここでじっと守られてるだけじゃなくて、俺達も協力させて下さい!」
俺達も仲間じゃないか!
家族じゃないか!
そんな気持ちで訴えていた。
「わかった。
みんなに出来る事があるから、それを手伝ってもらってもいいかな?」
「もちろん!」
「もちろんだよ。」
「やります!」
「やらせて下さい!」
「やったー!」
「よっしゃ!」
みんなの返事を聞いて、その場の空気が一気に温かくなり、みんなで笑った。




