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雨に阻まれない


晴希は向こうで犯人が判明した事も知らずに生活をしていた。

ーーーーーー

トキさんが向こうへ行ってから3ヶ月以上。


俺達の元へ全く帰って来なかった。



ばあちゃん達も

「晴希が心配するのはわかるけど、便りのないのは元気な証拠だよ。」

と言っていたので、深く追求しなかった。


こっちの暮らしに慣れすぎて、むしろ向こうの世界が少し遠く感じていた。



毎日作物の世話をして、収穫をして、美味しく頂く。

毎日同じ事の繰り返しのようだが、手入れをした分、作物たちは目に見えて大きく立派成長してくれる。

そして、甘みや旨味の詰まったものになり、より美味しい料理が出来上がる。



料理も、手間暇をかけた分、味が染み込み美味しいものが出来上がる。


ここに来て、改めて気づいた事ばかりだった。


向こうでは、何でもすぐに手に入るし、料理も出来上がったものが売っている。


食べるだけで、どうやった工程で売られているかさえ考えてこなかった。



畑仕事は確かに体力勝負だ。


しかし、ここ最近は楽しくなってきた。


それは、ここにいるみんなのおかげだと思っている。


スミさんも空翔も、お互いの体力や時間を見ながら動いている。


それぞれを尊重しながら作業をしていく。


今までナノチップに頼っていた俺は、些細な事でも話し合っていくスタイルに最初は驚いた。

しかし、何気ない会話がお互いを知り、共有し、新たな考え方を学ぶ事が出来る。


コニュニケーションの大切さを教えてもらった。


向こうでは、メッセージや通話で済ませる事ばかりで、相手の目を見て話したり、表情を見る事も少なかった。



だから、相手の感情や考えまで深く知る事はなかった。



それが普通というか、当たり前だった。



誰とでも繋がって便利だと思っていた世界は、俺が思っているより繋がっていなかった。



ナノチップがない世界にすっかり慣れてしまった俺は、忘れてしまっていた。

重罪者になったとか、犯人が誰とか、家がどんな目にあったとか。


ここのみんなが信じてくれている。


それで充分だった。


だから、向こうに帰りたいという気持ちはすっかり消えていた。


むしろ、ここが居心地が良くてこのままがいいとさえ思っていた。




いつも通り、畑仕事を終わらせばあちゃん達が待っている小屋へ帰ると、


「お疲れ。」


と久しぶりに聞く声だった。


その声の先にはトキさんが立っていた。


俺もスミさんも空翔も久しぶりに見るトキさんの姿に安堵の表情を浮かべた。



「「「トキさん!!」」」



3人声を揃えてトキさんに駆け寄った。



「おかえりなさい!

今回は長かったですね。」


「今日は一緒にご飯食べれるんですか?」


みんな、トキさんに質問攻めだった。



トキさんは

「今日はここにいるよ。

ただ、俺だけじゃないんだ。」

そう言った。



俺達は

「え?」

と思っていると、



トキさんの後ろから、チラッと誰かが顔を覗かせた。



その人物を見て驚いた。


「舞華…?」


何でここに舞華がいる?



「やっと会えた。」


舞華はそう言うと、俺に抱きついてきた。

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