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小さな雨も集まれば、やがて大きな災害が起こる。

わけのわからないまま、トキトウさんは去って行った。



本当に信用していい人だったんだろうか?



銃を持ってる。

堅元が犯人として証拠はない。

しかも、捕まらない。

そして、説明のないままいなくなる。

挙句の果てには、晴希は帰って来ない。



どういう事なんだ。


納得のいく説明をしてほしい。



犯人を背負ったまま消えたトキトウさん。



あの人も堅元の仲間だったんじゃないか?


疑心暗鬼になっていると、知らない宛先からメッセージが来た。



『明日、18時に駅前の広場にて待つ。

トキトウさんのかわりに今日の事を説明する。

2人で来てほしい。』


そう書かれていた。



それからすぐに種岡から通話が来た。


「廣田くん!

大丈夫なの?

今どういう状況?

さっきのメッセージは何?

どうなってるの?」


質問の嵐だった。



「いや、俺が聞きたいよ。

もう何を信じていいかわからなくなった。」


「ねぇ、廣田くんは大丈夫なの?

発光してないよね?

犯人は捕まったんでしょ?


晴希は?

晴希は近くいるの?」


それでも止まない種岡からの質問。



そうだよな。

この現場にいなかったら、全くわからないからな。


そう思い、今あった事を話した。




すると、

「とにかく、明日、駅前に行こう!

そうしないと何にもわからないじゃない!」


と種岡から返ってきた。



「それで、晴希みたいに駅前で発光させられたら、どうするんだよ?」


怪しいことしかないのに、疑わないのか?

騙されてる可能性の方が高いと思っていた。



「じゃあ、私ひとりで行ってくる。」


迷いなく種岡は言った。



「はぁ?

自ら重罪者になりに行くっていうのか?」


「そうじゃない。

少なくとも、私は晴希を犯罪者にしてしまった責任がある。

ちゃんとした理由が知りたいの。


それで、発光されられても文句言えない。

だって、晴希を重罪者にしてしまった罪は償わなきゃいけないと思っているから。」


覚悟を決めている種岡に、言い返せなかった。



「わかった、俺も行く。」





次の日。



学校が終わると、俺と種岡は駅前に向かった。


その道中、堅元の話になった。

「今日は休みだった。

体調不良だって、連絡あったみたい。」


種岡は真っすぐ前を見たまま言った。



俺も目線は合わせず、

「そうか。

でも、今から詳細わかるはずだから。」

と答えた。


行くとは言ったものの、トキトウいう人物もメッセージの人物も信用出来ずにいた。


本当に行っていいのか?

このメッセージも罠じゃないか?


昨日からずっと疑いは晴れていなかった。



そんな気持ちのまま、駅前に到着した。



この時間の駅前は、人通りが多い。


そして、駅前だから待ち合わせをしている人も多く、顔も名前も知らない誰かと待ち合わせなんて、無謀としか思えない状況だった。



これじゃあ、晴希の二の舞いじゃないか。



いつ発光させられるのか、緊張の中、周囲を見渡しながら、自分も発光していないか手先を見て確認する。


「いないな。

それらしい人。」



と話しかけると、種岡は俺に


「あそこのベンチに座ろう。」


と言った。

俺の緊張と裏腹に、種岡はベンチに腰掛けた。



俺に落ち着けと言ってるかのようだった


種岡に促されるまま、ベンチに座る。



すると、メッセージが届いた。



『昨日は大変な中、なんの説明も出来ず申し訳ない。

今日は来てくれてありがとう。』



そのメッセージに種岡がすぐに反応する。


『昨日の事、そして晴希の事。

ちゃんと詳しく説明して下さい。』



『もちろん、そのつもりだ。

昨日、何があったか説明する。』



返信があると食い入るようにメッセージに夢中になった。



『昨日、犯人が使った発光システムを追跡し、システムのアクセスを遮断した。

だから、彼が犯人という証拠は掴んでる。


だが、こちらのデータを解析されそうになり、データ削除するため、あの場をすぐに立ち去る必要があった。


君達には、何も説明出来ずに申し訳ない。』



『じゃあ、なぜ堅元は捕まらないんですか?

犯罪者なら放っておく方が、同じ事の繰り返しじゃないですか?』



『昨日、本人も言っていた通り、きっと政治家の父親が揉み消すだろうね。

だから、警察につきだしたって結局捕まらない。


だったら、彼には別の方法で自分の犯した罪の重さを知ってもらう。



それは、暫くしたらわかる。



それより、君達が聞きたいのは晴希の事だろ?


なんで戻って来れないか?って事。』



『そうです!

昨日言ってた、ナノチップを取り除いたってどういう事ですか?


ナノチップは生命に関わるから、取り除けないですよね?


晴希は生きてるんだから、ナノチップを取り除くなんて訳がわからない。』




『そもそもが間違ってるんだよ。

ナノチップを取り除いたって死にはしない。


ただ、この世界ではあまりにもナノチップありきの生活になっている。


だから政府がそう言って回ってるだけだよ。


ナノチップが開発される前は、ないのが当たり前だっただろ?』


確かにそうだ。

昔はナノチップなんかなくても生きていけた。



『みんな、ただ便利だからって依存しすぎなんだ。

だから、ちょっとした欠陥や不具合が見つかったら、すぐに世間に悪いと広げようとする。

まるで、自分が見つけた、すごいだろって自慢するみたいに。


みんなが、粗探しみたいに、悪い所ばかりを探そうとする。


それが怖いから、欠陥や不具合が発覚する前に隠蔽しようとする。


そういう環境に世間がしてしまったんだよ。



だから晴希は帰って来れない。



世間からしたら、いい標的だ。

そして、政府からしたら目の上のたんこぶだ。

排除したいに決まっている。』



それを聞いて言葉が出なかった。


堅元だけじゃない。

俺達だって、晴希を追い詰めているんじゃないか。



晴希が発光して以降、晴希の家や周囲の態度は変化した。

どんなに晴希がいいヤツと知っていても、みんな知らない人かのように態度に変わった。



それを目の当たりにしておきながら、平気で『帰って来れる』なんて軽く言っている自分が情けなくなった。


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