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雨の先にあるもの

「じゃあ、私が相談しようとしたから晴希は重罪者にされたのね。」

俯向いたまま種岡はポツリと言った。



トキトウさんは

「あくまで予想だが、その可能性が高い。


君に近付く人物を消そうとしているのは間違いない。


だから止めないといけない。」

と言った。



種岡は手を握りしめ、思いっ切り机を叩き

「何よそれ!

周りの人は関係ないじゃない!


用があるなら、直接私に仕掛けなさいよ!


ちょっと捕まえて警察に突き出して来る!」

と怒りを露にし、外に出ようとした。



種岡を止めようと腕を掴んだ。

「待てよ。

さっきも言ってたけど証拠がないんだよ。」



「証拠ならあるじゃない!

さっきこの人が私達に送った動画。


あれには、廣田くんの背中を押す瞬間が映ってる。


あれは十分な証拠じゃない!」



するとトキトウさんが

「悪いが、あの動画じゃ証拠としては足りない。

肝心な顔が映っていないし、ぶつかったと言えば、押し通される。


それに、ナノチップのデータを操作している証拠がないと捕まえるのは難しい。」

と冷静に答えた。



「じゃあその証拠を探したらいいじゃない。

犯人がわかってるなら、

学校の防犯カメラを徹底的に探したらひとつくらい証拠映ってるはずよ!

そしたら、捕まえられるでしょ!」


怒りに任せて、全てをトキトウさんにぶつける種岡。




「いや、無理だな。


証拠が残らないように巧妙に仕掛けられてる。」

真剣な顔答えるトキトウさんに、俺達は少し恐いと感じた。




「じゃあ、どうしたらいいのよ!

これじゃ犯人がわかってても何も出来ないじゃない!」


もどかしい気持ちが爆発する種岡。




「もちろんこのまま放っておくわけにはいかない。

そこで、君達の力を借りたいんだ。



さっき撒いた警備ロボには、君達のGPSを追跡するようにプログラムされていた。


だから、それを利用させてもらおうと思う。


あの警備ロボは、今も君達のダミーのGPSを追跡している。



まぁ、正確には今の君達の偽データを追いかけてる。


それは後で説明するとして、


ダミーを必死に追う警備ロボは、君を重罪者するタイミングを探しているはずだ。


そこで、敢えて重罪者になってもらおうと思う。」


俺を指差しながら、トキトウさんは訳のわからない事を言い出した。



「えっと、ちょっと待って下さい。

どういう事ですか?

俺が重罪者?

ナノチップのダミー?偽データ?とか、もっとわかるように説明してもらえますか?」

俺も種岡もトキトウさんの言っている事についていけず混乱していた。



「犯人の狙いは、廣田くんを種岡さんから離すために重罪者にしようとしている事。



だから、廣田くんには重罪者になってもらおうと思う。



そして、重罪者として発光する時に、必ず君のナノチップに何らかの方法でアクセスしているはずなんだ。


それを掴めば証拠として捕まえられる。



もし、君達が協力してくれるなら…」



バン!!!


トキトウさんの言葉を遮るように、種岡が机を思いっ切り叩いた。

その手は震えていた。



「それ、おかしくない?

結局、廣田くんが無実なのに発光するって事でしょ?

なんの解決にもなってないじゃない!


そもそも、私が廣田くんから離れたらいいんでしょ?



もうこれ以上、誰にも辛い思いをしてもらいたくない。」



種岡は怒りながらも、最後の一言は涙を堪えながら訴えた。



「すまない。

説明が足りなかったな。


もちろん、廣田くんは発光しない。


君達には無断で、2人のナノチップの個人(オリジナル)番号(コード)を変更させてもらった。


世間的には、前の個人(オリジナル)番号(コード)で判別されているが、実際2人は別の番号(コード)で生きている。


だから、前の番号(コード)が重罪者扱いされても、君達には一切危害はない。」



それを聞いて更に混乱する。


種岡は

「あなた、何者なの?

そんな事出来るなら、犯人とやってる事一緒じゃない。


そんな人を信じろって無理があるでしょ?



そもそも私が一人になったらいいんでしょ。


そしたら、誰も傷つかなくて済むじゃない。


廣田くん、行こう。

この人信用出来ない。」

トキトウという人物自体に不信感を抱いていた。



出て行こうとする種岡。



「いや、待って種岡。

それじゃ解決ならない。」


そう言って、種岡を止めた。



そして、そのままトキトウさんに

「本当に、俺は発光しないんですか?」

と聞いた。



「あぁ、発光しない。

君達の安全は、私が必ず守る。」

トキトウさんは言い切った。



トキトウさんの目を見て、覚悟を決めた。



「わかりました。」


そう返答すると、種岡は俺の肩を掴み、


「待って、この人を信用するの?

廣田くんを重罪者にしようとしているのよ!

守るなんて本当かわからないじゃない!」

そう言って、必死に止める。



その声を制止して、トキトウさんを見つめたまま

「そのかわり、条件があります。」

と言った。



「いいよ。何?

こっちばかりが条件出してるんじゃフェアじゃないからね。」

にこやかに微笑むトキトウさん。



俺はトキトウさんに食いかかるように


「じゃあ、晴希に会わせて下さい。

晴希が生きてるって、この目で確認出来たら協力します。」

と言った。



その言葉に一番驚いたのは種岡だった。


俺を止めるのに必死だった種岡の目線は、すっかりトキトウさんに釘付けだった。



トキトウさんは驚く様子もなく

「あぁ、わかった。

晴希に会わせるよ。」

と優しく笑った。

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