つめたい雨が体を冷やす
おじさんはトキトウと名乗った。
晴希がどこにいるかという質問には
「場所は言えないが、生きている。」
と答えた。
種岡は納得しないようで、
「なぜ教えてくれないの?
生きてるなら、なんで帰ってこないの?」
と聞き返す。
「まずは、次の犠牲者を出さない事が先決だ。
君達、狙われてるんだ。」
明らかに居場所は教えてくれる様子はない。
そこで俺は
「確かに狙われているが、犯人の目安はついているから、あとは警察に通報したら解決する。
そしたら、晴希も帰って来れるんだろ?」
と聞き返した。
「その警察が動かなかったら?」
即座に返答してきた。
「動かない?
これだけ多くの事故が起きてるんだ。
今日の俺の事故なら、監視カメラの映像あるんだろ?」
「だったら、晴希はなぜ重罪者にされたんだ?」
その一言に言い返せなかった。
「まぁ、座ってよ。
2人には協力してほしいんだ。」
俺も種岡も納得いかないまま、ひとまず話を聞こうと顔を見合わせ座った。
俺達に向かい合うように座り、トキトウさんは話を始めた。
「さっきも話していたけど、犯人はわかってるんだろ?」
「はい。
あくまで俺の予想ですけど、
種岡と同じクラスの生徒会メンバー、堅元高志だと思ってます。
種岡と話している時に、委員会だと呼びに来たり、サッカー部の練習場所変更も生徒会メンバーだったら申請書偽造出来るはずだ。
今日の申請書取消を生徒会室で受け取ったのもアイツだ。
そして、提出したあとの俺の事故。
明らかにどこかで監視していたとしか思えないタイミングで必ずいる。」
それを聞いた種岡は驚きを隠せなかった。
「え、じゃあ堅元くんが晴希を犯罪者にしたってこと?」
「たぶん。どうやって晴希を犯罪者にしたかはわからないが、俺はそう思っている。
そういえば、あなたも俺達を監視していましたよね?
さっきの犬に監視させていたんですか?」
とトキトウさんに質問した。
トキトウさんは
「さっきの犬は君達を誘導するために使ったホログラムだから関係ない。
君達の事はナノチップのデータを追跡していた。
居場所はGPSが特定出来ればすぐに判明するし、近くの監視カメラや警備ロボの映像拾ってきたら会話だって筒抜け。」
と答えた。
種岡は、
「え、じゃあ堅元くんも同じ事していたってこと?」
と聞いていた。
トキトウさんは
「いや、犯人は狙った人物のナノチップに直接アクセスしている。
君達…というか、君のナノチップが狙われている。」
とトキトウさんは俺を指差した。
2人ではなく、俺だけに限定された。
それはなんとなく予想していた。
が、命ではなく
「ナノチップ?
俺の命を狙ってるんじゃないんですか?
ナノチップを狙ったところで何が出来るんで…」
と言いかけて止まった。
晴希を調べている時におかしいと思った事を思い出した。
種岡宛のメール。
重罪を犯していないのに発光。
この2つがナノチップを操作されたものだったら。
そう思うと辻褄が合う。
黙り込む俺に、トキトウさんは
「ナノチップのデータを書き換えて、君を重罪者にするつもりだ。
晴希はそれで重罪者にされた。」
と言った。
種岡は怒ったように立ち上がり、
「なんで?
なんで晴希は重罪者にされなきゃいけなかったの?」
とトキトウさんに食いかかる。
「それは君だと思う。」
トキトウさんは種岡を見て言った。
「私?」
「そう。
晴希が重罪者にされた日。
君は晴希と帰る約束していたね。
その時に晴希に頼もうとしていたんじゃないのか?
次の日、身元不明のメッセージからの呼び出しについてきてもらおうとしていたんんじゃないか?」
「そうだけど、晴希は何も関係ないじゃない。
なんで晴希なの?
それなら私を重罪者にしたらいいじゃない?」
俺は種岡を落ち着かせるように座らせ、
「堅元は種岡が好きなんだよ。
だから、呼び出した。
だが、種岡が晴希に相談しているのを見て、晴希が邪魔だと感じて重罪者にした…ってとこですか?」
とトキトウさんに尋ねた。
トキトウさんは頷いた。
それを見た種岡はショックを受け、下を向いた。




