雨の痕跡を探して
あれから4年。
スミくんとの畑仕事で鍛えられたおかげで、体力もだいぶついた
仲間も増え、みんなで協力して生活出来るようになった。
トキさんを支えていく。
スミくんと約束してから、少しは役に立っているかな?
ピアノがなくても、楽しくて充実した毎日を送っている。
感謝しなくちゃ。
空翔くんと蓮樹くんがふざけ合っているのを
止めているスミくんの手伝いに行った。
ねぇ、トキさん、私達を助けてくれてありがとう。
なかなか帰って来ないけど、体調崩していませんか?
私にもしてくれたように、しっかりご飯は食べて下さいね。
おばあちゃん達と一緒にあたたかいご飯を用意して待ってますから。
その頃、トキさんは晴希の幼なじみの舞華と、友達の大地を監視していた。
誠真の案で、2人のデータを書き換え、行動を監視する事にした。
書き換えるといっても、本人達の記憶がなくなったり、システムに異常が出るわけではない。
ナノチップに当てられた個人番号を新しい番号に変更する。
新しい番号に今までのデータを全て移行する。
外部からは、今まで通り古い番号で認識されるため、もし発光させられても、本人達は番号が違うため発光しない。
というわけだ。
この書き換えは誰にでも出来るわけではない。
開発者のトキさんしか出来ない。
そして、変更される人物も、発光してしまったあとには、変更出来ない。
犯罪者がこの書き換えを知ってしまったら、すぐに番号を変えようとするからだ。
だから世間は、生涯、個人番号はひとつしか持てないと思っている。
誠真には、ナノチップ不具合者を救出するのを協力してもらうため、データの書き換えをした。
だから知っていたが、まさかこんな使い方をしたいというとは思わなかった。
おかげで、2人は思う存分行動してもらえるわけだが、当の本人達は何にも知らないわけだ。
無茶しなきゃいいが。
そんな心配を抱えていた。
ーーーーー
晴希の足取りを探すため、俺と種岡は防犯カメラのデータをもらえるか、最後一軒に事情を話し頭を下げた。
「廣田くんがいてもダメかー。」
種岡が残念そうに言った。
ベンチに座り、種岡と落ち込んでいた。
最後の一軒に頼んでみたが、やはり防犯カメラのデータは断られてしまった。
個人情報が映ってる分、データを見せるとか渡すとなると、なかなかいい顔をする人はいない。
「ひとりで行った時もあんな感じだったのか?」
「うん。やっぱりみんな何かしら理由つけて断ってくる。」
それを100軒近くやった種岡すごいよ。
「ひとまず、他のもらえたデータは見たんだろ?
映ってなかったのか?」
少しでも励ます意味で聞いてみた。
「全部映ってなかった。
他のルートからここまで来たのかな?」
そう言いながらベンチを擦る種岡。
このベンチは、晴希と種岡が小学校の頃に、待ち合わせしていた場所だ。
「映ってないってことは、その可能性もあるな。
今日は遅いから、他のルートもまた明日探してみよう。」
俺が何を言っても、種岡は落ち込んだままだった。
ほんの少しの手掛かりを求めて、頭を下げ続けた種岡。
ひとつも手掛かりが掴めないとなると、絶望的になるよな。
種岡の肩に手をかけた瞬間、
種岡は立ち上がり、
「わぁー!
もう、悔しくなってきた!
こうなったらとことん探そうじゃない!
昔の警察ってこんな感じだったのかな?
足で情報を稼ぐみたいに言うじゃない?
逆に燃えてきたー!」
と叫んでいた。
その勢いに呆気に取られていた。
「ちょっと、廣田くん。
ボケっとしてる暇ないわよ!
他のルート探すから、明日また協力してよ!」
あっという間に元気を取り戻す種岡。
「いや、明日は部活の清掃当番で帰り遅いから…。」
と小さな声で答えていると、
「じゃあ、昼休みに作戦会議ね!」
これは断れないなと察して、
「あ、はい。」
と答えて、帰路つくことにした。
さすがに辺りが暗かったので、種岡を家まで送っていくことした。
その間も種岡は、明日どこから探すかばかり話していた。
あまりにも明るく話す種岡に、少し心配したが、俺は種岡に合わせることにした。
種岡の家に着くと
「じゃあ、今日はありがとう。
また明日。」
そう言って種岡は家に入って行った。
俺は帰るついでだからと、近くの晴希の家の前に行った。
ここから、あのベンチまで行けるルートを探すため、歩いてみることにした。
通常通りに行けば、今日種岡が歩いたルートだ。
それ以外はやたら遠回りになる。
そこまで、遠回りする必要があったのか?
いや、おかしいな。
もう一回、戻ってみようと振り返った。
その瞬間。
ガサっと物音した。
少し離れた場所だったが、違和感を感じた。
誰かがいた。
そんな気がした。




