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雨宿り出来る場所

評価ありがとうございます!


皆さまの評価を支えに、更新続けてまいりますので

宜しくお願い致します。


晴希が出て来る代わりに、舞華や大地はしばらくお休みです。

中に入ると、さらに扉があり、開けると10畳ほどの広さの部屋があった。

その部屋には、壁一面に大量のモニターで埋め尽くされており、モニターの横には見たこともない機械がたくさんあった。




そして、部屋には青年が一人立っており、ドアを開けた音でこちらを振り向いた。



「トキさん、思ったより早かったね。」

と気さくに話しかけていた。


「あぁ、誠真は迷わなかったか?」

トキさんのその一言で、この人が誠真さんだと知った。


「大丈夫。ナノチップ無敵だから。」

そう冗談ぽっく言う誠真さん。

トキさんとの親密さを感じた。



「晴希、彼が誠真だ。

今まで、みんなを見つけたり、データ操作や情報処理全般をしてくれているんだ。」


すると誠真さんは手を前に出して

「はじめまして。

僕は映像とかで見てるから知ってるけど、実際に会うのは、はじめてだよね?」

と言った。



「あ、はい!

はじめまして。俺、日高晴希と言います。」

と答え、ズボンで手を拭き握手した。


トキさんが少し笑いながら

「晴希、そんなに緊張しなくてもいいだろ?


まぁ、汚いところだけど座ったら?」

と言うが、この部屋には机と椅子がひとつずつしかなかった。



「トキさん、座るって人数分の椅子も座布団もないよ。

一人暮らしでも、もうちょっと物揃ってるもんだよ。

この部屋生活感なさすぎ。」

淡々と鋭いツッコミを入れる誠真さん。


「しょうがないだろ?

元々、ここは俺が作業するための場所なんだから。生活する事は考えてない。」



「トキさん、自信満々に言ってるけど、全然偉くないからね。


まぁ、作業という面では、なかなか機材揃ってるけど。」

と部屋を見渡す誠真さん。



「だろ?モニター集めるの大変だったんだから。この通信機器だって、まだ現役なんだぞ!」

嬉しそうに自慢するトキさん。


ばあちゃん達の元に帰って来る時は、疲れているのと、少し寂しそうな感じがしていたが、きっとこれが本当トキさんなんだろうな。と思って、二人やり取りを見ていた。



部屋には見慣れないものが多く、珍しそうに見回していると、



「晴希はこんな機械見た事ないんじゃない?」

誠真さんが話しかけてきた。


「そうですね。

こんなにタブレットいっぱいあって、何に使うんですか?」



「晴希、これはタブレットじゃないぞ。

このモニターは映像を映す機械なんだ。今じゃ入手困難なんだからな!」

トキさんが力説してくる。

これだから、今の若者は困るんだよ的な雰囲気だった。



「トキさん、それ、おっさん発言だよ。」

誠真さんのその発言に、ショックを受けるトキさん。


誠真さんはその隙にと言わんばかりに

「まぁ、トキさんはほっといて、晴希座ろう。」

と床に二人で座り込んだ。


あまりにも緊張していた俺は、正座をした。



「そんなに緊張しなくても、仲間なんだから、足崩してよ。痺れるよ。」

誠真さんもそう言ってあぐらをかいた。


じゃあ、と俺もあぐらをかく。



「どう?向こうの生活慣れた?

ナノチップの生活から急に環境変わり過ぎだよな?

やっぱり、独り言多いって気づいた?」


その質問に、俺は意気揚々と

「そうなんですよ!

ナノチップなくなって初めて思いました!

『今何時?』とか『目覚まし』とか『メッセージ送って』とか、ものすごい言ってたんだなって。


今までナノチップが答えてたから、違和感なかったけど、よく考えるとおっきい独り言だなって。」

と答えた。


独り言の他にも、

写真を撮ろうと指を動かしてしまう事、

遠くを見るためにピンチアウトをしようとしてしまう事、

前日の行動を思い出すためにGPS履歴を見ようとしたり、

話し出したら止まらなかった。



ばあちゃん達の前では、何となくナノチップの話がタブーのような気がして、話題を反らしていた。



だが、誠真さんが話を振ってくれた事で、デジタル世界と向こうのギャップに感じていた事を、面白おかしく話せる事が楽しく、会話が弾んでいた。




その間、ショックのあまりどこかに行ってしまったと思ったトキさんが戻って来て、俺達にペットボトルの飲み物を渡した。


わざわざ買って来てくれたらしい。



それを見て

「トキさん。この部屋はコップもないって事だね。」

と誠真さんが言うと、



「わ、悪かったな!

作業にコップは必要ないからな。」

トキさんは飲み物を吹き出しそうになりながら、必死に否定した。



「晴希、気を付けて。

トキさん、びっくりするくらい自分の事には無頓着だから。」



「そんなにですか?」



「うん。」


あまりにもあっさり肯定する誠真さんに、

トキさんが「あのなぁ、」と否定しようとすると、そのまま誠真さんは話しを続けて



「でも、ナノチップに関しては、右に出るものはいない。

これだけのモノを開発出来るって、他の人じゃ無理だから。」


誠真さんはそう言うと、トキさんからもらった飲み物を一口飲んだ。



「僕はトキさんが開発したナノチップを、上手く活用させてもらってるだけ。

ナノチップがなかったら、現代のデジタル化はここまで進まなかったと思う。」

あまりにもベタ褒めする誠真さんに、トキさんは顔を背けていた。



「誠真さんのナノチップは正常なんですよね?

じゃあ、今もGPSで追跡されたらすぐに居場所がバレるんじゃないんですか?」

今さらながら、ナノチップがあるという事は、俺と一緒にいる事がバレたら警備ロボや警官が来るんじゃないかと心配し始めた。



「大丈夫だよ。

事前に情報操作もしてるし、あとでデータを削除するから。

今、データ上では僕は家から出てない事になっている。」


その一言に安心した。


「そっか。よかった。

案外データって簡単に書き換えられるものなんですね。」


と気楽に聞くと、

誠真さんは少し落ち着いた口調で


「監視カメラのデータや履歴なんかは、修正可能。

まぁ、技術はもちろん必要だけど。


ただ、技術があっても情報操作が難しい事もある。


例えば、誰かを発光させるとか。」


その一言驚いた。

まさか、誠真さんに疑われてる?


「あ、いや、俺は本当に何もしてないんです!!」


必死に否定した。


「あぁ、ごめん。晴希を疑ってるわけではないんだ。

晴希が犯罪者じゃないのはわかってる。


ただ、発光あの日、何か変わった事とかなかったか?

些細な事でもいいんだ。

誰かとケンカしたとか、何かを目撃したとか。」


落ち着いた口調で、なだめるように言う誠真さん。

俺は疑われてないというのが伝わってきた。


ただ、あの日は、特に変わった事はなかったと思うんだよな?

いつも通り学校行って、帰りに発光し始めた。

むしろ、俺がなんで発光したか知りたい。


「変わった事ないですね。

むしろ、俺自身がなんで発光したか知りたいくらい。

ナノチップの誤作動じゃないんですか?」

と気楽に返すと、


肩をしっかり捕まれ

「本当に?

些細な事でもいいんだ?

何かなかった?」

とものすごく真剣な表情で誠真さんが聞いてきた。



それに圧倒されつつ

「あの、本当になんにもないです…。」

と返答した。

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