一途な雨
晴希のGPSデータがもらえた事により、当日の詳細がわかった。
朝、家を出てから、真っ直ぐ学校に向かっていた。
いつも通りホームルーム10分前に到着というのが晴希らしい。
学校に着いてからの行動は知っているからいいとして、あとは帰りだ。
晴希は、教室を出た後、電車に乗る前にコンビニに寄っていた。
『メールや通話の個人情報は私もわからないけど、GPSと電子マネーは家族で管理していたから、晴希のデータ渡しておくわ。』
晴希のお母さんはGPSデータと一緒に当日の電子マネーデータもくれていた。
それを見ると、晴希はコンビニで傘とチョコを買ったあと、駅の改札で発光している。
このデータを見る限り、晴希は何一つ重罪を起こしていない。
これはもう、
「本人に聞くしかないな。」
と決意を固め、次の日の昼休みに種岡に声をかけた。
「種岡。今日部活は?」
「あるけど?どうしたの?」
「その後、時間あるか?」
その言葉を聞いた種岡は嬉しそうに、
「大丈夫!ちょうど行こうとしてたとこなの!
廣田くんは部活何時頃終わりそうなの?」
と目を輝かせて答える。
その迫力に圧倒されつつ
「え、あ、18時位かな?」
と言いつつ、後退りしてしまう。
「じゃあ、部活終わったら校門前で待ち合わせで!!」
と言って、友達に呼ばれた種岡はクラスへ戻って行った。
いや、待て。
俺は何も用件言ってないんだが、何の約束なんだ?
晴希はよく種岡の相手出来てたよな。
本当関心するわ。
まぁ、とにかく話をする事は出来るだろう。
そして、部活終わり、種岡は約束通り校門前で待っていた。
種岡は俺が来たのを確認すると
「それじゃ行こうか!」
と、そのまま歩き出した。
いやいやちょっと待て。
「どこ行くんだよ?」
「え?どこって晴希の手掛かり探しに行くんでしょ?」
え?なんで晴希の手掛かり探してるの知ってるんだよ?
やっぱり、晴希のお母さんが種岡に話したのか?
そんな疑念がうず巻いていると、
「昨日は委員会で時間なくなっちゃったけど、今日は一軒行けそうなんだ。
遅くなる前に行こ!」
「待て待て。だから、どこ行くんだよ。」
「え?だから、晴希が最後に目撃された場所?
そこの近所の防犯カメラを見せて貰えるようお願いに行くの。
それについて来てくれるんでしょ?
到着するまでにおばあちゃんから聞いた話するね!」
「あ、種岡のばあちゃんの話ね。」
びっくりしたー。
昨日、晴希のお母さんにデータ貰ったのを聞いたのかと思った。
「え?他に何かあった?」
「いや、何もない!
で?種岡のばあちゃんはなんて?」
と勢いで種岡に聞きたかった事を逃してしまった。
「やっぱりおばあちゃんはボケてなんかいなかった。
ちゃんと当日の事を鮮明に覚えてたの!
朝、雨が降っていたから、晴希の家が心配になって見に行ったら、目の前で倒れこんでる子がいたから話しかけたんだって。
その子、話しかけられた事に驚いて、そのまま逃げて行ったんだけど、走り方が晴希そっくりだったって。
その子はそのまま左に曲がって行った。
だから、晴希の家から左方向に曲がって、花がおいてあったベンチまでの通り道に、防犯カメラをつけてる家、一軒ずつ見せてもらえないか頼みに行ってるの。」
「で、その一軒に今日行くって事か。」
「そう。おばあちゃんの情報聞いてから早く話したかったんだけど、廣田くんなかなか返信くれないし、昨日話しかけた時あんまりいい反応しなかったから、もう晴希の事諦めたのかと思ったけど、よかった!」
本当に晴希の事となるといい表情をする種岡。
「わかったよ。
防犯カメラのデータもらいに行くの手伝うよ。手分けすれば早いだろ?
あと行ってないとこはどこだ?」
「ありがとう。
でも、今日行くとこが最後だから大丈夫。」
満面の笑みで返す種岡。
「え?他の家は?」
「もう、全部聞きに行ったよ。
貰えるとこは少なかったけど、データはあるから後で送るね。」
「全部って…」
晴希の家周辺は住宅街だから、結構な軒数があるはず。
「データもらえたのは20軒。
それ以外は全部断られちゃった。
100軒位あったから半分はいけるかなって思ったけど、やっぱ難しいね。」
そう言いながら、俺にデータを送信してきた。
俺と連絡取れない間も、一人で全部聞きに行ったのか?
そして、そのデータを隠す事なく俺に送る。
種岡を疑う事、事態バカバカしくなってきた。
「なぁ、種岡。
俺、お前に確認したい事があるんだけど?」
「ん?なに?
おばあちゃんの話、もっと詳しくききたい?」
「晴希が発光した日。
お前と晴希、一緒に帰る約束してただろ?
なのに、なんで委員会って嘘のメッセージ送ったんだ?」
直球で聞いた。
種岡は隠し事は下手だ。
もし、誤魔化すようなら問いただして、真相を突き止めよう。
じゃなきゃ、ここまで晴希のために行動してるのは、会いたいからじゃないのか?
何か生きてたら困る事があるからなのか?
どっちだ?
「え??
待って?何のこと?
晴希が発光した日って、最後に会った日?
あの日は放課後一緒に帰る約束して、
昇降口で待ち合わせって晴希にメッセージ送ったはず。
委員会なんてメッセージ送ってないよ?
見る?私の送信履歴。」
そう言って種岡は、俺にも見えるように自分のメッセージ履歴を表示させた。
晴希とのメッセージ履歴が全て表示された。
そこには、晴希がいなくなってからも毎日メッセージが送られていた。
受信元がありませんと表示されたメッセージがズラッと並ぶ。
それをずっとスクロールしていく種岡。
そして、やっと受信されたメッセージまで辿り着くと、そこには
『HR長くなりそうだから、15分後に昇降口待ち合わせで!』
というメッセージが最後だった。
その前後のメッセージにも委員会だから先に帰れなんてメッセージはなかった。
「ほら?昇降口待ち合わせって書いてるでしょ?
委員会なんて一言も…」
と俺の顔を見る種岡。
このメッセージを見て、俺は
「お前、晴希がいなくなってから毎日メッセージ送ってるって本当だったんだな。」
と吹き出しそうになった。
「え?あ!ちょっと!見ないでよ!!」
と慌ててメッセージを非表示にさせた。
耳まで真っ赤になっていた。




