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雨の温度

晴希の当日の状況を知った俺は、更に詳しく調べる事にした。


当日の晴希の行動。

発光してからの晴希の行動。



学校を出てから発光するまで約20分位か。


と考え込んでいると


「ちょっと、調べといてって言って放置ってどういうこと?」



「うぉっ!」

急に種岡が目の前に現れて驚いた。

あまりにも集中しすぎて、気が付かなかった。


「そんなに驚かなくてもいいでしょ?

何回も声かけたのに気付かなかったのはそっちでしょ!」



晴希の事を調べるのに夢中で、種岡のメールから1週間経っていた。


種岡が怪しいかどうか、もうちょっと調べたかったが、仕方ない。


「あぁ、悪いな。ちょっと考え事してた。」



「本当に悪いと思ってる?

サッカーの大会この間終わったって聞いたけど?」

じっと睨む種岡。


「いや、悪い。ちょっと忙しくて。」

目線を泳がせながら答える。



その空気に何かを感じとった種岡は

「そっか。

いや、ごめん。忙しいならいいや。」

と明るく返事をし、帰ろうとする。



「なぁ、種岡。一個だけ聞いてもいいか?」



「ん?何?」



「あの日、晴希と約束してたんだろ?

なんの用だったんだ?」



その質問に少し戸惑いをみせたが、すぐに笑顔に戻り

「えー?

何だったかな?

忘れちゃった!」

とはぐらかされた。



こっちは真面目に聞いてるのに、何だその誤魔化し方は?とちょっとイラっと来ていると。



種岡のクラスメイトがやって来て

「種岡さん、もうすぐ委員会始まるから会議室集合だって。」

そう呼びに来た。


「あ、もうそんな時間か!

じゃあ、廣田くん行くね!」


そう言いクラスメイトと一緒に会議室に向かって行った。



答えをはぐらかすと言うことは、何か隠したい事があるのか?

やはり、種岡が何か関わっているのか。





種岡を調べるにも、晴希を追跡するにも俺の情報だけでは限界がきていた。

何か手掛かりがないかと、わずかでもいい、そんな願いを込めて晴希の家に行く事にした。



久しぶりにみる晴希の家は、かなり荒れていた。


「マジかよ。」

想像以上に悲惨な状況に思わず声が出てしまった。



「酷いでしょ。

いつも片付けるんだけど、次の日にはまた荒されてるの。」

と後ろから声をかけられて驚いた。


「大地くんだよね?」

と声をかけて来た女性は晴希のお母さんだった。



葬式後、憔悴しきった晴希の両親は種岡の家に避難していると種岡から聞いていた。


まさか会えるとは思っていなかった。

葬式の時よりも更に痩せていて、健康体という感じではなかった。



「晴希に会いに来てくれたの?」


「あ、はい。」

あまりにも驚いて、素っ気ない返事しか出来なかった。


「そう、ありがとう。

今、家がこんな状態だから、別の所で生活してるの。

せっかく来てくれたのにごめんなさいね。」

と申し訳なさそうに言った。


「いえ、あの、ちょっと聞きたい事があるんですが、時間ありませんか?」

少し緊張しつつ言ってみた。



「大丈夫よ?

でも、ここじゃなんだから少し場所をかえましょ。」


晴希の家の前にいるだけで、冷たい視線が注がれていた事に気が付いた。


俺達は晴希の家から離れた公園に来た。


「結構歩かせてごめんなさいね。

家の近所だと、何が飛んでくるかわからないから。」

少し冗談交じりに言っていたが、きっと今までもそんな事があったんだろう。

そんな事に巻きこれないように遠ざけてくれたんだろう。

その優しさに苦しくなる。


「あの、体調は大丈夫なんですか?」


「大丈夫よ。ほら、ここまで結構歩いたでしょ?元気元気。

それより、聞きたい事って?」



こんな状況の時に聞いてもいいか悩んだが、直接聞ける機会は今しかないと思い聞く事にした。

「あの、晴希がはっこ…いや、最後に会った日、何かいつもと違う事がありませんでしたか?」


「違うこと?

うーん。特に変わった事はなかったと思うの。

普段通りに家を出て行ったわ。」



「そうですか…。」

もしかしたら、朝から何か異変があったんじゃと思ったが違ったらしい。



「あの日、時間通りに家を出て、電車に乗って遅刻せずに学校に到着してるわ。

だから、いつも通り帰って来ると思ったんだけどね。

本当に何があったのかしら?」


その言葉を聞いて思った。

そうだ、家族なら晴希のGPSを辿れるんじゃないか!


「あの、そのデータ見せてもらうことは出来ませんか?」



「晴希のあの日のデータ?

いいけど、見ても何もないと思うわよ?」

そういいながら、目の前に晴希の当日のGPSデータを表示してくれた。


晴希のGPSは特に変な所なんてなかった。

発光した後、とにかく逃げ回っているのがわかる程、動きまわっていた。


「何もないでしょ?

なのに、なんで発光したのかわからなくて。それなのに、みんな犯罪者扱い。

晴希はそんな子じゃない。

普段の晴希知ってたらわかるのにね。」

目に涙を浮かべながら話してくれた。


「ごめんなさい。

なんか愚痴みたいになっちゃったわね。


舞華ちゃんからいろいろ聞いてて、大地くんが助けてくれてるって。

ありがとう、晴希を信じてくれて。」



なんで、突然来た俺に、こんなに親切にいろいろ教えてくれるのかと思ったら、種岡が話していたのか。


そして、種岡も、晴希のお母さんも晴希の事を信じてる。


その気持ちが真っ直ぐ過ぎて、敵わないなと思った。


この二人の気持ちが、俺が感じていた違和感は間違いじゃないと後押ししてくれた。


だからこそ、種岡の事をハッキリさせたい。

本当にあいつは晴希の発光に関係ないのか?

何か隠しているんじゃないのか?


だからこそ、

「俺も晴希が発光するなんておかしいと思ってるんです。

この晴希のGPSデータのコピー、もらえませんか?」

俺には必要なんだ。

晴希のお母さんに頭を下げる。



「ちょっと大地くん。頭上げて。

そんな事しなくても、データのコピーが欲しいの?

コピーなら送りましょうか?」



「いいんですか!!お願いします!!


あ、あと、今日俺が来た事もデータもらった事も種岡には言わないでもらいたいんです。」


と言うと、晴希のお母さんは少し微笑み


「わかったわ。

舞華ちゃんにはナイショなのね。

言わないでおくわ。」

そう言いながら、俺にデータを送ってくれた。


「データありがとうございます!!


あの、出来れば種岡家のみんなに言わないで頂ければ…」


クスクスと笑いながら

「わかったわ。みんなには言わないでおくわ。」


なんか違う勘違いされてる気がするが、いいか。


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