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雨に濡れないように守られていた

空翔の事を何も知らなかったと痛感した。



空翔はナノチップが破損した事で、政府の処分対象となった。

そのため家族には死亡と伝えられ、政府が空翔の存在を世の中から消した。


ナノチップは破損なんてしない。

そう世の中に信じさせる為に。



空翔が病院だと思っていた所は、政府の隔離機関でナノチップ不具合者を集め、収容しているそうだ。


そこで、不具合者は処分される。

動けない者はそのまま安楽死させ、

動ける者は次第に体力を弱らせてから安楽死させているらしい。


異変を感じ、逃げ出した空翔をトキさんが保護した。



俺の時だってそうだ。


川に落ちたのをトキさんが助けてくれた。



トキさんが向こうへ行き来しているのは、俺達みたいなナノチップ不具合者を助ける為だという事を初めて知った。


そしてもうひとり、『セーマさん』という人も協力してくれているそうだ。



トキさん達は一人でも多くの人を助けようとしている。



それなのに、俺はデジタル社会に楽をする為に帰っていると思っていた。



トキさんに合わせる顔がなかった。






しばらくして、約2ヶ月ぶりにトキさんが帰って来た。




みんな久しぶりにトキさんの姿が見れて安心したようだ。


少し疲れているようで、ご飯を食べた後、一人でいたトキさんに話かけた。


「あの、おっさん久しぶり…。」


申し訳ない気持ちと、少しの照れが変な挨拶になってしまった。


「お兄さんだ。」

疲れていながらも、そこはちゃんと否定してきた。



「えっと。…トキさん。

今までいろいろすみませんでした!

俺、ずっとトキさんがデジタル社会で楽する為に帰ってると思ってました!」


思いっきり頭を下げ謝罪した。


こんなんじゃ許されないのもわかってる。

でも、言わないと気が収まらなかった。



「あははは!

そんな事、言わなきゃバレないのに、わざわざ謝るなんて晴希らしいな。

もっと肩の力を抜いたらいいんだよ。」

いきなり笑い出したトキさんに俺は驚いた。

怒られる覚悟で言ったのに、まさかの返答だった。


「いや、だっていろいろ迷惑かけたし…」

吃っていると、


トキさんが隣に座れと手招きしてきた。

俺は隣に座った。


「どうだ?ここの生活慣れたか?

畑仕事大変だろ?」


「はい、スミさんにいろいろ教えてもらって少しずつ…。」


「そっか、スミは教えるの上手いから頼りになるだろ?

わからない事いろいろ聞いとけ!」



「あの、トキさんに聞いてもいいですか?」


「堅苦しいな、何でも聞いたらいいんだよ。」



その言葉に甘えた。


「向こうで不具合者助けるって大変じゃないですか?」

吃っていた俺が、トキさんの目を見てハッキリと聞いた。


トキさんは驚きつつ、俺の頭をポンポンとした。

「大変じゃないよ。一人で戦ってるんじゃないから。」


トキさんはそう言うと、少し笑い、俺に話始めた。


「ここにいるみんなも、助けてくれてるのはもちろんだけど、向こうにも仲間がいる。

晴希には話せてなかったな。すまない。」



「みんなから少しだけ聞きました。

協力してくれてる人がいるって。」




「そう。デジタル社会で、俺と一緒に不具合者を探してくれてるんだ。」



「その人はここで生活しないんですか?」



「アイツは不具合者じゃないんだ。

だから、デジタル社会で生活しながら手伝ってくれてる。

奏もスミも空翔も晴希も、みんなアイツが見つけた。

誰よりもナノチップを使いこなしてる。

まぁ、今度会わせるからゆっくり話したらいい。」



聞きたい事が多すぎて、考えが纏まらずにいると、トキさんがポケットから何か取り出した。



「それより、晴希。

これいらないか?

菓子なんだが、ひとつしかなくてみんなには言うなよ。」



ものすごく話を反らされた。

少し不満を覚えながらも、渡されたお菓子を見ると、俺の好きなコーラ缶を型どった容器のラムネだった。



「これ!俺の好きなヤツ!

あまり売ってないのにもらっていいの?」


久しぶりに見たコーララムネにテンションが上がる。


「そうなのか?」


「そう!だから、俺も毎回見つけたら買って来てもらってたんだ!」


そのテンションの上がりようにトキさんが少し微笑む。


「そっか。じゃあよかった。みんなには言うなよ?」



そう言うと、立ち上がり外に出て行った。



「はい。これは大事に頂きます。

あと、仲間に会わせるって話、忘れないで下さいよ!」



トキさんは『はいはい、わかったよ』と言わんばかりに手を振った。


トキさんには逃げられたが、仲間に会わせてくれると約束してくれたから、それまでに聞きたい事をまとめて置こうと思い、その日は寢る事にした。

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