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落雷に打たれる

空翔の過去の話になります。

空翔は野球好きの父親の影響で野球を始めたそうだ。


小学校の頃から近所の野球チームに入り、練習がない日も、近所の公園で素振りをしたり、キャッチボールをしたり、毎日野球に触れていた。


週末の野球チームの練習試合が楽しみで仕方なかった。

打って走って、点が入った時には大喜びした。

勝った日は、嬉しくて走って家まで帰って、父さんとキャッチボールをしながら今日の活躍を報告する。

負けた日は悔しくて、家に真っ直ぐ帰らず、川辺の練習場でひたすら走りこみと素振りをして目を腫らして帰った。

とにかく強くなりたいと思っていた。



小6の時の練習試合で、有名なクラブチームと対戦する事になった。


このチームは4番バッターがすごかった。


バッターボックスに立っただけで、闘志がグランド中に広がる。

外野を守っている俺にも伝わる程だった。


絶対に打つ!!


その威圧感が場内を圧倒する。



そして、カーンというバットの甲高い音が球場内の全ての視線を奪い、スピードを上げ綺麗な放物線を描き、ボールは空へと消えていく。



今までホームランを打った事はあるが、こんなにも綺麗なホームランを初めて見た。

いつもなら最後まで諦めず追いかけるが、あまりにも見事なホームランに立ち尽くしてしまう。

見惚れる程、心に刻み込まれた。



こんなホームランを打ちたい!

球場全体を圧巻するような、こんな野球がしたい!

俺がしたいのはこれだ!

そう強く思った。


その4番は同い年と聞いて、更に奮い立った。

俺は絶対にお前を超えてやる!!

彼が目標となり、乗り越えたい存在となった。



目標が出来た事で、更に野球にのめり込んでいった。



中学生になり、野球部に入った。

弱小で部員も少なかったが、

小学校の野球チームとは違い、練習量も多く、より内容の濃いものになった。


チームメイトも仲が良く、みんなで冗談を言いながら競い合っていた。


「今日勝った方が、俺のいいとこ10個言えよ。」

など馬鹿馬鹿しいなりに、お互いを認め合い、上を目指していた。


しんどくても、あのホームランが打てるなら、このチームメイトとなら耐えられた。



トレーニングを重ね体格も少しづつ変わる。


がむしゃらに振っていたバットも、フォームや技術を習得し、進化させていった。


自分がどんどん強くなっていくのが実感出来た。




中1の夏の大会。

一年でレギュラーになった。



目標にしている彼は、私立の有名な中学に進学しており、シード校だった。


去年までの成績だと、俺達は2回戦まで進めばいい方だと先輩が言っていた。


だが、人数が少ない事で団結力が強くなり、チームがまとまり、順調に勝ち進み準決勝で対戦する事になった。



ウィーンとサイレンがなり


「「よろしくおねがいします!」」


球場中に球場の声が響き渡る。


目の前にいる。

絶対に越えたい相手がすぐそこに!

対戦出来る喜びに気持ちが高ぶっていた。



彼は強豪校でもレギュラーを勝ち取り1番バッターだった。


さすがにシード校なだけあって、簡単に点数を取らせてもらえない。

しかし、こっちも全員でキツイ練習を乗り越えて来たんだ。

簡単には点数を取らせない。




お互い得点がないまま、7回に試合が動いた。

相手校のピッチャー交代。

2年生から3年生ピッチャーに交代した。


今まで温存していた事もあり、球のスピード、威力共に格段に上がった。


試合の後半で俺達は体力が落ちていっている事もあり、全く打てなくなっていた。

あまりにも速い投球に全員が圧倒されていた。



その裏、相手の攻撃。

1番、彼がバッターボックスに立った。


疲れとさっきの攻撃での圧倒に、俺達は焦りが出ていた。


それを見逃さなかった。


カーン



球場に金属音が響き渡る。

ホームランだった。



相手チームは声を上げて喜び、グラウンドを一周した彼を全員で迎える。



その一撃は、俺達を絶望させるには充分過ぎた。


そこからは、相手打線が爆発し


結果 5-0


惨敗だった。



相手の作戦勝ちだった。

完璧に俺達の体力と戦略が足りなかった。

打てないと思わせた後に、ホームランで精神的にも追い込む。


何だこれ?


こんなに絶望感に追い込む事出来るんだ。


今まで野球をやってきて、悔しい事はいっぱいあったが、エラーしなければとか、打っていたら勝てたんじゃないかと思うものばかりで、絶望まではいかなかった。

彼はここぞという時にホームランを打ち、相手を追い込むまでの力を持っている。



凄い!すごい!スゴイ!

こんな野球があるんだ!

技術も体力も戦略も全て習得したい!



泣いている仲間の横で、俺は悔しいよりも興奮が止まらなかった。


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