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差し出された傘に守られて

頭の中にはてなマークが錯乱していた。


あまりにも唐突過ぎて、『俺を慰める為についた嘘にも程があり過ぎる。』そう思った。



世界中に通用するシステムなんだぞ。

ナノチップ開発ってそんなに簡単に出来るもんじゃないだろ?


それを、こんなどこにでもいそうなおっさんが?



しかし、おっさんからリアルな返答が返ってきた。


「俺が16歳の時に開発して、その2年後実用化された。

まさかこんな使い方されるなんて思ってなかったけどな。」


呆れるように言い放った。

その言い方は少し寂しくもあった。


「開発したものが悪用されて、世界中の人々を騙してる。

それに比べたら、晴希の脱走なんてちっぽけなもんだよ。」

冗談交じりにおっさんは言った。



空気を壊すのが天才的な空翔は

「さっき川に潜った時のコレも、トキさんが作ってくれたんだよ!」

と自慢気に見せた。

こっちに戻ってくる時に鼻に付けたダンベルのような形をした小さな機械。

確か、これを付けたら水中なのに呼吸も会話も普通に出来た。



空翔は小さな機械を見ながら、

「ただなぁー。トキさんの作るヤツ、ちょっとだけセンスがないと思うんだよな?

この形とか?

あ、あのヘルメットとか特にセンスないと思わない?

ここに来る時最初にかぶったヤツ!

工事用のヘルメットってダサいじゃん?

俺は野球やってたから、野球のヘルメットとか?

女子ならかわいいヤツが似合うって!

王冠とかティアラとか!」

と調子に乗って喋ってると


ゴン!


と空翔にトキさんの鉄拳が落ちた。


「センスなくて悪かったな。

空翔、今後はもう使わなくていいぞ。」

と結構マジで怒るおっさん。



「いってー。トキさん嘘ですって!

こんなセンスの塊見たことないっすよ!!

冗談じゃないっすか!!冗談!!」

鉄拳が落ちた頭を抱えながら、訂正する空翔。



みんなそれを見て笑う。

その場の空気が和んでいく。



俺もつられて少し顔が緩む。



その表情を見て、おっさんは少し安心したようで

「晴希、ここにいるみんなナノチップのせいで辛い目に合ってる。

ナノチップなんかなかったら、平和に生きて行けたんだ。

お前も、俺が作ったナノチップの被害者なんだから、一人で責任を背負い込むな!

必ずここの誰かに相談しろ!

絶対に力になるから!!」


みんなが俺に微笑みかける。

晴希の味方だよって言ってくれてる気がした。



もう夜更けになり、蓮樹の眠気が限界になっていたので、今日はひとまず就寝する事にした。


この小屋は、ばあちゃん家と比べるとものすごく狭くなったが、みんなとの距離が物理的だけでなく、心理的にも近く感じた。

それが、今の俺にはありがたい。



ナノチップがある世界は、

あまりにも便利過ぎて、人の温かさがこんなに嬉しいものだなんて気付きもしなかったんだ。


俺のせいでばあちゃん家を離れる事になったのに、俺の体調ばかり気にするばあちゃん、蓮樹、奏さん。


俺を探しに向こうの世界で走り回ってくれた空翔。



車を運転し、俺達全員をここまで連れて来てくれた。そして、俺に本当の事を話してくれた望月さん。



俺の情報を集め、みんなを避難させ、きちんと説明してくれたおっさん。


俺を迎えてくれるこの場所を、この人達を大切にしたい。


もう、迷惑かけたくない、失いたくない。


何が出来る?

何も持たない俺に何だったら出来るんだろう?


料理も、体力も、運転もどれもみんなに勝らないが

俺が出来る全てを、やって行くしかない。

少しでもみんなの力になりたいんだ。


そう思いながら就寝した。





ーーーー

その頃、ナノチップの世界でも変化が始まっていた。

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