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不安の雨

しまった!


油断した。

後ろから急に口を塞がれ、人通りの少ない路地に連れ込まれた。

もちろん、大いに抵抗したが体力がもう限界だからだろうか、あまり効いていないようだ。

そしてこの感触はロボではなく人間だ。

もう警官が来たという事だろうか?



耳元で

「あまり暴れるな!」

聞き覚えのある声だった。


顔を確認出来ないまま、マンホールの中へ連れ込まれた。



薄暗い場所で抵抗するがだんだんと目が慣れてくる。

「晴希暴れすぎ。」

そう言って抑えられた口元を開放したのは空翔だった。


「もうどんだけ走んの?探すの大変なんだけど?」

疲れたと言わんばかりに地面にへたり込む空翔。


急に連れ込まれた俺も正体が空翔と分かり緊張の糸が解れる。


「空翔…。どうしてここにいる?」


ばあちゃんの家で寝てるはずの空翔がなぜ?

そう思っていると


「そりゃ、お前の姿がないって言うから探すに決まってるだろ?しかもこっちに来てるかもってみんな大騒ぎ。」


「俺なんて放っておいたらいいだろ。どうせ関係ないんだから。」

そう言うとすかさず空翔に背中を思いっきり叩かれた。


「痛った!!何すんだよ!!」


「何言ってんだよ!!俺ら仲間だろ!」

真剣な眼差しで空翔に睨まれた。

それに圧倒され何も言い返せないでいると、ピリリッと空翔の耳元から電子音がした。

よく見ると空翔の左耳の小さなイヤホンのようなものから鳴っていた。


空翔はその電子音を止め通話をし始めた。


「あ、はいはい!合流しました。

今、地下に避難してるので、そのまま帰ります。あと宜しくです!

そうですね、セイマさんの言うとおり間違いなかったです!はい!

あ、トキさんにまだ連絡出来てないです。

はい、じゃあお願いします!では!」


誰かとしばらく喋ったあと通話を切りこっちを見る。

「晴希、帰るぞ!」

そう言ってへたり込む俺に、空翔は手を差し伸べた。



こっちの人達はただ赤く発光しただけで犯罪者扱いで、関係ない家族にまで危害を加える。

それなのに空翔は、散々冷たく当たり数日しか過ごした事のない奴を仲間と言い、手を差し伸べてくれる。


居場所なんかないと思った俺には、その仲間と言って差し伸べられる手が心底嬉しかった。


俺はこの手を力強く掴んだ。

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