雨のような水滴
大変長い間止まってしまいましたが、また続けて行きますので宜しくお願い致します。
家の前で悔しさに明け暮れていると、
「大丈夫かい?」
と後ろから声をかけられた。
ビクッと肩が上がる。
まさかこんな時間に人がいると思ってなかったから驚いた。
ここで声をかけられるという事は近所の人か。
しまった、今ここで顔を見られ俺が生きてると知られたら騒ぎになる。
この場所から早く立ち去るべきだった。
それだけじゃない。
家に、家族にこれ以上の辛い想いをさせたくない!
死んだと思ってもらった方がいい!
顔を見られぬように俯いたまま走り出した。
返事をして、知ってる人だったら声でバレる可能性だってある。
とにかく今はこの場から一歩でも遠く離れる事。
「…あ、ちょっと…。」
走り去った遠くの方で呼び止める声が聞こえたが、構わず全力で走った。
足が重い。拳が痛い。
全部自分のせいだ。
足を動かせ。痛みなんて知ったこっちゃない。
これ以上家族に迷惑かけるな!
その想いだけが原動力だった。
夢中で走ると、そこは小学校の頃の通学路まで来ていた。
小学校の頃、待ち合わせしてたベンチ。
疲れてヘトヘトな俺はベンチに座った。
舞華と一緒に登校してたな。
懐かしい思い出が蘇る。
あの頃は何にも考えずとも信頼する人が周りにたくさん居て、家族や友達と一緒にいれるのが当たり前だと思っていた。
何気ない事で笑って、安心して暮らせる場所。
そんなところを家族からも奪ってしまった。
これからどうすればいい?
俺は何が出来る?
今出来る事は何だ?
ない頭で精一杯考える。
あー、もっと頭良けりゃなぁー。
勉強もっと真面目にしとけばよかった。
とにかく、今の状況でわかるのは俺が見つかるのはヤバい事は確実だ。
家があんな状態にされるって事は相当な重罪にされてる。
そんな俺が捕まれば家族はこれ以上酷い目にあう可能性がある。
だから今は隠れよう。
ベンチを離れる前に近くに咲いてる花をベンチの上に置く。
飛ばないように石を乗せる。
そしてベンチから急いで離れた。
ナノチップがないからGPSで追跡はされないが、街中に警官ロボと監視カメラだらけだ。
どこなら見つからないって言うんだ?
人通りの少ないところは必ず監視カメラがある。防犯のため当たり前に設置されている。
大通りは早朝とはいえ、多少の人通りと通行量がある。そして警官ロボの巡回もある。
「逃げ場なんかないじゃないか。」
ぼそりと呟く。
大通りの手前の路地で立ち止まり、ひとりごとを言うしか俺には出来なかった。
走り疲れしゃがみ込む。
地面は雨で濡れているが、さらに水滴を増やす。
項垂れる俺から落ちるのは、川で溺れた水なのか、汗なのか、目から落ちる悔し涙なのかわからなかった。
それくらいぐちゃぐちゃだった。
顔も感情も。
泣いてる場合ではない。
疲れている場合ではない。
隠れなければ。
走り続けて息は上がり酸欠になりそうだ。
頭がぼぉっとしてきた。
あてがなく途方に暮れていた。
疲労と思考停止が完全に視野を狭くしていた。
急に後ろから口をおさえられた。




