手探りの雨
おっさんを見失った場所まで辿り着いた。
川と土手しかないここに向こうと繋がっている場所がある。
空翔によると川を泳いで来たと言ってたから、この川を下って行けばいいのか?
そう思い川に入って見るが、深さは膝下で深くない。
俺が溺れたような深い川ではない。
このまま下って行けば深くなって行くのか?
でもおっさんはこの場所で姿を消した。
泳いで行くにしては浅すぎる。
それに泳いで行ったなら、昨日泳ぐおっさんの姿を確認出来るはずだ。
それがなかった。
どこだ?
入口は?
川から上がり川原に座り込んだ。
ここに来たら簡単に見つかると思ったが今日はもう無理かもしれない。
俺が溺れた時、もっと周りを見ておけばよかった。
ただ苦しくて、臭かった事くらいしか覚えてないもんな。
ん?待てよ?
そういえば、排水の匂いがキツかった。
トンネルのような所で話したな。
こんな綺麗な川じゃない。
どちらかというと下水道だ。
こんな自然の中にトンネルがあれば目立つ。
ただ、トンネルに似た形ならある。
この土手だ。
土手のどこかが入口だ。
入れる場所があるはず。
斜面をひたすら手当り次第探す。
扉なのか穴なのか、とにかく違和感がないか、何でもいいから手がかりが欲しかった。
がむしゃらに斜面を触っていると、急に景色が変わった。
真っ暗なトンネルの中にいた。
どういう事だ?
何がきっかけかわからないがトンネルに来れたらこっちのものだ。
入口を探すのに時間がかかったから、俺がいなくなったのに気付かれる前に向こうに帰らなければ。
トンネルの中は暗かったが、奥の方にオレンジ色の光がわずかに見える。
それを目指し走り始めた。
そして、オレンジ色の光に近付くにつれ、排水の匂いがキツくなっていく。
間違いなく俺が最初に溺れた時と同じ匂い。
この匂いが向こうへの入口だと確信させてくれた。




