第271話 白石影人 Ⅴ
お付き合いいただきありがとうございます。
この話で、親父と同居(脳内)のスクールライフ~高校入学編~は一旦終わります。
自分が思っていたよりも長くなってしまったので、高校入学編とした最後の話です。
この物語の核となることを少し書かせてもらっています。
楽しんで頂けることを心の底から思っております。
字数自体は少ないですので、サクッと読めると思います。
では、始まります。
私が光人に認識されて4日が立った。
濃厚な日々であったなと、思い起こした。
まさか、自分が忘れてたことまで思い出すことになった。
自分の異動が幼い子供に影響を与えることになるとは思わなかった。
もっとも、これだけで彩ちゃんの心を壊したわけではないし、私が責任を持つことでもないんだが…。
ただ、光人の行動は、静海ではないが人が変わっているようだ。
中3での態度を知っている人間なら、今の光人と同一人物とは思わないだろう。
やはり、光人が寝てる間に、人格交代をし過ぎたせいかもしれない。
私も思春期の頃は人見知りが酷かった。
大学ぐらいまではそんなに友人が多い方ではなかったが、大学院に行くようになってから変わり、その後はそこそこの社交性を手に入れた。
この私の性格が、もしかしたら光人に影響しているのだろうか?
光人にとっては、白石影人の意識は非常に目障りなのだとは思う。
これが自分の立場に置き換えたときに、父親に始終付き纏われ、いつも監視されていては、自分の時間が出来ない。
心休まる一時もないのだ。
気が狂ってもおかしくないのではないか…。
私が事故により、予期せぬ死亡という事態であるからこそ、光人はこの状況を受け入れることが出来たのだろう。
私に出来ることは優しく見守ることだけ。
困った時のアドバイスくらいだ。
だから、光人が一人で自らを慰めるときには、まるで眠っているように、気配を殺す。
快感は私も強制的に伝えられてくるが、さすがにこんなことを光人自身に言う訳にはいかない。
この数日で、本来なら考える必要にない女性心理を想像も交えて考えている。
その結果か、女性を喜ばせる言葉をよく使うようになったし、特に伊乃莉ちゃんの寂しさにも寄り添えるようになっている。
だが、最低でも、彩ちゃん、伊乃莉ちゃん、智ちゃんは光人に好意以上の感情を持っている。
しかも、柊夏帆のそれに近いような態度をとってきている。
ただ、光人は柊さんには不信感を抱いているから、それほど気にしなくてもいいかもしれない。
それ以外にも、光人に関わって惚れている女子がいても不思議ではないな。
私の世親がいつまでこの状態でいるのかは正直わからない。
マウスの実験では、終わりについての実証はしようがなかった。
いつの日か消えてしまうのか、それとも光人が死ぬまでこのままなのか。
私は栄科製薬で、アルツハイマー治療薬について研究を行っていた。
その時の事を思い出した。
近々、山上があの「薬」を回収に来るだろう。結局は失敗だったと思ってくれればいいんだが…。
光人も静海もわけもわからず飲んでいた、
頭の良くなるサプリメント。
もし、本当の意味で人体実験をしていたと知ったらどんな顔をするのだろうか?
私もまさかこんなことが起きるとは思わなかったが…。
誰にもこの状態を知られるわけにはいかない。
もし私が光人の脳に出現したことが、ある筋に見つかれば、間違いなく光人の身体は切り刻まれるだろう。
私達がマウスにしたように…。
私は、今、一つの懸念があった。
静海の光人に対する態度だ。
いくら、光人が私の死後の活躍に助けられたとしても、あまりにも変わりすぎている気がした。
特に、私が光人の身体を乗っ取った時、彩ちゃんたちを家に連れてきたから、顕著に光人に絡もうとしている。
本気で兄である光人に恋をした、とはどうしても思えない。
自分が極端な行動をとることによって、光人の挙動を観察しているようにしか思えない。
もし、本当に妹を光人が襲うことになれば、私も動かざるを得なくなる。
そこで、私はとんでもない思考にいたった。
まさか、私を引きずり出そうとしているのではないだろうか?
警戒はしなければならないが、自分が愛する舞子さんや静海、当然光人も含めて、幸せにしたい。
たとえ死んでいるこの身でも。
最期までお付き合いいただきありがとうございます。
この高校入学編としてありましたが、序章で親睦旅行のシーンが書かれています。最低そこまで書きたかったのですが、自分で言うのもなんですが、長くなり過ぎました。ここでいったん終了として、続いて親睦旅行編として書く予定です。半年くらいの間には投降したいと思っていますので、出来ましたら読んで頂けると嬉しいです。
こんなにも登場人物たちが勝手に動くとは思いませんでした。
特に宍倉彩音さんの過去の話は今後「嵐の生徒会選挙編」の後くらいに少しずつ、垢していく予定だったんですが…。
そんな訳で、この話でいったん終わりますが、続きの話を書くためのモチベーションになります。ブックマーク、評価、感想、よろしくお願いします。




