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第269話 俺の嘘

『それで心配だからいのすけを送ったという事?』


 ちょっと険を含んだような言い方だ。


「ことはそんなに単純じゃなかったんだよ。助けたと言えばそうなんだけど…。具体的には、絡んでいた男性二人組なんだけど、その一人が俺のことを知っていた。」


『知り合いだった、という事なの、光人君。』


『それが違うんだ。俺はその人をまったく知らない。室伏君っていう奴、あやねるは覚えてるかな。』


『自己紹介の時の話だよね、確か。動画の話をしてたような気がする。』


「そう、そいつ。そいつが言ってた動画をナンパ野郎が見てて、俺の顔に覚えがあったんだ。その人が、俺の親父、白石影人を尊敬してるとか言い出したんだよ。」


『影人さんがしたことは凄いと思うけど。それでどうなるの?』


「その人は小さい頃に交通事故に遭ったみたいで…。だから小さい子を助けるために自らの命を犠牲にしたって言うことに感動したそうだ。で、俺たちにちょっかい出したことを謝って、離れてくれた。」


『何も怪我することはなかったんだね。よかった。』


「で、やけに伊乃莉が俺に礼を言うから、親父のお陰だから、機会を見て親父に礼を言ってくれればいいって俺が言ったら…。」


『まさか、今日また光人君の家に行ったってことじゃないよ、ね。』


 恐るおそるといった感じであやねるが言う。


「ああ、来て、親父に線香をまた上げてくれた。」


 無言だった。


「なんだけど、その前にがあるんだよ。」


 聞いててくれるんだろうか?

 答えが返ってこない。

 怖い。


「さっきちょっと言ったと思うけど、友達の慎吾の彼女の紹介という非常に行きたくないイベントがあった。それについてきた。」


『なんで伊乃莉が…。』


「俺があまり行きたくないって愚痴っちゃったんだよ。どうせうちに来るつもりだったから、って言ってね。伊乃莉は部外者なんだけど、第三者がいてくれたら、その彼女の俺への辺りも少ないかなって、思っちゃったんだよね。安直に。」


 言葉を出してきたんで、とりあえずホッとする。


「連れてったけど、結局慎吾の彼女、榎並虹心は俺を糾弾してきた。俺の所為で二戸が悪者になっているって言ってね。事実は逆なんだけどね。その証拠を出したりしたんだけど。」


 俺が3日前に語ったいじめを思い出しているんだろうか。

 あやねるが何も言わない。


「俺もだんだん冷たいことを言い出したところ、伊乃莉に止められた。そういう意味では伊乃莉に感謝してる。」


『その後、いのすけは光人君の家に行って、お父さんに線香をあげた。その帰りを光人君が送ったんだね。』


「そんなとこ。またナンパされるかもしれないしね。」


『偶然が重なった結果で、最初から約束してあったわけではない、っていう事でいいのね、光人君。』


「うん、そうだよ。」


 噓をついた。

 でも、本当のことは言えない。

 伊乃莉と話したことは、まだ本人であるあやねるに伝えるわけにはいかない。


『分かった。そのことは信じる。でも、今日わたしは光人君に逢いたかった。それだけは覚えておいてね?』


 少し力がない気がする。

 気のせいだろうか?


『遅くにごめんね。じゃあ、また明日。おやすみ、光人君。』


「うん、また明日。おやすみ。」


 電話を切った。




 体に入っていた力を抜く。

 あまり嘘はつきたくなかったが、これは仕方がない。

 できれば、この嘘を謝れると気が来れば、いいな。


(お疲れさん、光人)


(あんまり嘘はつきたくないな。それがその人のためだとしても…)


(とりあえずは今日はいいが、明日も何かあるかもな)


(そういう事は言わないで欲しいんだけどな。もうすぐ、テストもあって、あんまり他に神経を使いたくないよ)


(テストもだが、それが終わると親睦旅行だろう?まだまだトラブル目白押しって感じだな)


(もういいよ、俺、寝るわ)


 明日からいよいよ授業も始まるんだ。

 教科書も持って帰らないといけないらしいし。


 そう思ってベッドに行こうとした時、ドアをノックされた。


「お兄ちゃん、今大丈夫?」


 静海が何かあるらしい。

 夕方のいじめの録音に関したことだろうか。


「ああ、大丈夫だよ。」


 ドアが開かれた。


 上にはもこもこしたいつものパジャマを着ていた。

 しかし、下は…、ショートパンツを履いていない。


「お、お、お前、下、履いてないの、か?」


 思わず指さしてしまった。


「えっ、何言ってんの、お兄ちゃん。ちゃんと履いてるよ、ほら。」


 そう言って静海が、パジャマをめくって見せた。


 ああ、何だ、俺の気のせいか…、って!


 そこには薄ピンクで、おなかのとこに可愛いリボンがあしらわれたショーツが出てきた。


「おい、やっぱり、履いてないだろう!それ下着だろう!」


「そうだよ、ショーツ。履いてるでしょう。」


「確かに下着は履いてるけど、いつものシュートパンツ履いてないじゃないか!」


「だって、ショーパン履いてたら、下着見せづらいんだもん!でも、これ可愛いでしょう!」


 パジャマをめくって下着を見せつける静海をチラチラ見てしまう。


「ね、お兄ちゃん。可愛い妹の下着どう?これね、上とお揃いなの。」


 そう言うと上のパジャマも脱いでしまった。


 確かに下のショーツとお揃いの薄いピンクのブラジャーをしていた。

 まだ可憐な胸を優しく包んでいるようだ。


 童貞にこの姿は、刺激が強い!


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