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第227話 セクシーさの欠片もない妹

 淀川慎吾が帰ったのは午後8時を過ぎていた。


 久しぶりで楽しかったが、明日のことを考えると、少し憂鬱だった。


 まず、西村智子に明日の約束を取り付けなければならない。

 その後で鈴木伊乃莉に明日の開いている時間を聞いて、会って話をする予定を決めないと。


 で明日。

 榎並虹心と会って話をせねばならなくなった。

 折角の休みなのに…。


(いろいろ楽しそうで何より)


(バカなことは言わないでくれ。明後日からは普通に授業が始まって、学力テストがあるんだぜ、親父。あっ、そうだ。テストの時、分かんないとこ教えてくれよ)


(バカを言うな。そんなことできるわけがないだろう。不正を使って点数増やしたって、自分のためにはならんぞ)


(そりゃ、そうだろうけどさ。親父が死んだせいで、かなりこの体と心が参ってんのはわかるだろう?)


(うーん、そう言われるとな)


(そうそう、今回だけでいいから、な)


(いや、やっぱり駄目だな。それとこれとは話が違う)


「はあー。」


 思わず大きなため息をついてしまった。


「光人、静海がお風呂入ってるから、出たらすぐには言っちゃって。」


 お袋が、親父と脳内会議をしていた俺に風呂に入るように言ってきた。


「あいよ。」


 これからまず西村の智ちゃんに電話して、その後に伊乃莉に連絡か…。


 伊乃莉の方は極力早く昨日の件、共有しとかんと、宍倉真理さん、何言いだすかわからん。


 俺はそんなことを考えていると、風呂場の前室、更衣室と言っていいのかはばかられるが、そこの洗面台からドライヤーで髪を乾かしている静海の姿が目に入った。


「もう、お兄ちゃんのエッチ!わたしがまだお風呂入ってるとこ覗こうとしたでしょう。ホント男子ってスケベなんだから。」


 静海は胸を隠すチューブトップにモフモフ生地のショートパンツといういでたち。


 この可愛さでこの格好なんかやられたら、並の男子は鼻血もんだろう。


「まさか!ちゃんとドライヤーの音を確認して入ってきたよ。大体、ほとんど胸がないのにチューブトップなんかつけたらすぐにずり落ちるだろうに…。」


 さすがに兄という立場上、あからさまに静海の肢体を鑑賞する気はなかったが、可愛いのは認める。

 ただし、今、口に出したように、お胸はまだ寂しい限りである。


「何言っちゃてんの!この美しい妹の体を直視できないくせに!」


 と言われたので、まじまじと見てやる。

 可愛い中学生の華奢な体は、妹としての愛らしさは充分にあるが、あやねるや、ギャル先輩には圧倒的に負ける。

 柊先輩もお胸はすっきりしているが、四肢の肉のつき方に比べると、静海の手足は骨と皮のような細さ。


 顔立ちは十分可愛いが、それには幼少期の可愛らしさに近い。

 この体には、さすがに兄ちゃん、欲情はできんな。


(なに冷静に当たり前のことを言ってんだ。お前、実の妹に欲情したいのか!)


 案の定、親父がこの剣に文句を言ってきた。

 が、スルー。


「な、何か言ったらどうなのよ。」


 じーっと見られたことにどうやら恥ずかしくなってきたらしい。


「イヤ、カワイイナと思った。」


「何、その棒読み!このセクシーボディー見て何もおもわないの?」


「かわいい妹だなとは思った。ただ、まだ幼児体形で、安心した。」


「ちょ、ちょっと待ってよ、お兄ちゃん。私のどこが幼児体形なのよ。お腹なんかすっきりしてるでしょう!ポテッてしてないでしょう?」


「うん、おなかはしてない。でも胸もすっきり。」


「もう、いい加減にしてよね。明日、お母さんとブラ買いに行くんだから!セクシーなやつ買っちゃうんだから。見せてやんないけどね!」


 そう言ってべーと舌を出してきた。

 別に見たいわけないんだけど。


「お前、今お袋と行くって言ってただろう。そんなセクシーなやつ買ってくれるわけねえじゃん。」


「うっ。」


 図星をつかれて、胸を抱え蹲ってしまった。


 さて、俺は風呂に入りたいんだけど、静海の前で全裸になってもいいんだろうか。





 俺が服を脱ぎ始めたら、静海は顔を真っ赤にして顔を両手で隠し(でも指の間は開いてるというテンプレ)でしばらく俺を観察したのち、パンツに手を駆けると、一瞬、期待の瞳を見せたが、俺が凝視していたら、やっと出ていった。


 とりあえず、湯船に浸かって今日の疲れをほぐしていく。


 まだ今日は終わってない。


 時間的には午後9時少し前。

 時間的なことを考えれば、先に伊乃莉の家だろうな。

 固定電話ではないとはいえ、おととい知り合ったばかりの女子への連絡は、夜遅くない方がいいに決まってる。


 風呂から上がり、ドライヤーも使わず、自分の部屋に入る。


 スマホを取り出すと、LIGNEが入っていた。


 一つはあやねる。

 今日の昼食会の感想である。

 伊乃莉の自慢をさも自分の手柄のように書いている。

 なぜ?そして、景樹と話して少し男性恐怖症が薄れてることも書いてあった。


 俺はその返事に、伊乃莉の家の大きさに驚いたこととあやねるも伊乃莉もこちらから見れば十分お嬢様だと書き足した。

 景樹については、帰りがけの話で、中3の失恋の話を書き、しばらくは恋愛関係の話を振らないように頼み、週明けに会えることを楽しみにしてる旨を送って、終了。

 

さて、伊乃莉に連絡するか。


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