第122話 岡崎先生写真鑑賞会 Ⅴ 柊セレクト③
写真が変わった。
今回はメモ機能ではなく最初から「これが最後だよ!」と書かれている。
生徒会室での集合写真だろうか。
日付と人数的に卒業式で生徒会役員としてかかわった人の写真だろうか。
中央に岡崎先生より若い先生がいる。
その右隣りが現生徒会長の斎藤先輩、さらにその横に大月先輩がいて、柊先輩や、辺見先輩などがいた。
反対の方は見たことのない先輩だが、胸にリボンを付けているところを見ると、卒業生なのだろう。
そのわきに岡崎先生がいて、先生の前に向井さんがいた。
よく見ないとわからないが、向井さんの肩に男の人の手がのっている。
見ようによっては心霊写真と騒がれかねないが、この手、岡崎先生なんだろうなあ。
教室のクラスメイトを見ると、もうみんなはしゃぐ元気もなく、呆れている感じ。
まあ、仲睦まじいのは良いことなんだけどな。
「「「「リア充爆発しろ‼」」」」←心の叫び!
(そんな感じだな、この雰囲気)
(親父があきれるとは意外!いつもお袋と似たような感じなのに)
(こんな公開処刑のような真似はしていない!)
公開処刑された本人は、PCをシャットダウンして、教壇に立った。
「これから、先生より重大なお話があります。」
岡崎先生が妙に神妙な言い方をした。
「お前ら!今見たことは、完全に忘れろ!そして思い出すな!口にするな!」
魂の絶叫だった。
だが、このクラスは個性的な方々が多い教室。
「先生。それは無理というものです。既に皆さんの記憶にしっかりと刻み付けられてしまいました。先生が言い出したことでもあるんですよ。諦めましょう。」
諭すように語るのは、噂大好き山村さん。
うわあ、柊先輩の劣化版とはいえ、端正な顔がおもちゃを見つけたような無邪気とはいいがたい邪気を大いに含んだ笑顔で岡崎先生を見ている。
「わかった。確かにこの話を先にしたのは俺だ。だが、話すなら正しい情報を流せ。近日中に結婚する相手であり、教え子に手を出していないという事は間違えるな!」
先生はプライドをギリギリ保つように、山村さんの下簸た笑みに視線をそらさず、注意を促した。
「それは、もちろんですわ。」
そう言って、山村さんは席に座りなおした。
他の生徒も少し吹き出しそうになりながら先生に、頷くように首を動かしている。
「はあ~あ、なんでこんなことになっちまったのか。まあ、いい。結構遅くなっちまったから、気をつけて帰れよ。部活の見学に行くやつも、生徒会の辺見が言っていたように午後6時厳守でな。あ、それと。」
ざあーっと周りを見渡す。
「本当は生徒同士で決めるのがよかったんだが、時間がないんでな。再来週に新入生親睦研修旅行ってやつがあるんだが、班はこの列ごとに決定する。だから今いない奴にも伝えてくれ。この件に関して、明日の健康測定終了後、パンフレットを渡すときに説明するからな。」
心の乱れを悟られないように、捲し立てるように言い切った。
「あーと、そうだった。男子耳ふさげ!」




