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ウィルスミス騒動について

作者: よるえのき

 今年のアカデミー賞でのウィルスミスさんの起こした騒動について、アメリカと日本の視聴者の反応が真逆なので、なぜだろう? と思い考えてみました。


 皆さんご存知のとおり、アカデミー賞の授賞式の舞台で、コメディアンであるクリスロック氏がウィルスミスさんの奥様の病気を揶揄やゆするようなジョークを言ったことから、これに腹を立てたウィルスミスさんがクリスロック氏に暴力を振るったというものです。


 このニュースを見た最初は、私も暴力はいけないと思うけど、ウィルスミスさんの行動も理解できるという感じでした。ニュースに対する日本人のコメントも、ウィルスミスさんに同情的な意見が多かったように思います。


 ところが、アメリカでは、ウィルスミスさんの行為はぜったいに許せない、クリスロック氏に同情するとの声が多いとのことで、日本人の感覚とはまるで逆のようでした。


 日本人とアメリカ人の感覚の違いでしょうか?

 しかし、最近のアメリカ人は日本のアニメやゲームに慣れ親しんだ人も多くて、鬼滅や進撃のアニメを見て涙するアメリカの視聴者達を見ていると、お互いの価値観はかなり似通っているのではないかと思ってました。

 それだけに、180度違う反応に、驚きを通り越してショックですらあります。


 そこでよく考えてみますと、ふと思い付いたのが、中世ヨーロッパにおける宮廷道化師の存在です。

 ご存知ない方の為に言いますと、道化師というとサーカスで派手な衣装や化粧をして、観衆を笑わせるいわゆるピエロが思い浮かぶと思いますが、それとは違います。


 中世ヨーロッパの宮廷では、宮廷道化師が雇われていて、ロバの耳の付いたフードや帽子をかぶって、王侯貴族を楽しませるために、自由に振る舞うことが許されていたそうです。

 そのため、王様に耳の痛い話をしたり、悪い知らせを告げることもできる便利な存在だったようです。


 そこで、今回の騒動となったアカデミー賞の会場を中世ヨーロッパの王宮に置き換えて、王様から一年間の功績に応じた貴族への勲章授与の場にしてみましょう。

 そしてウィルスミスさん達ハリウッドスターは、そこに集まった公爵や伯爵たち貴族です。

 もちろんそこには宮廷道化師であるクリスロック氏もいます。


 先程も言いましたが、宮廷道化師は自由に振る舞うことが許されているのです。

 アメリカのコメディアンの位置付けが、実のところ不明なのですが、仮に宮廷道化師の位置付けなら、自由に振る舞うことが許されているクリスロック氏の発言に腹を立てて暴力を振るうことは、確かに許されないことです。


 そう考えてみて、私はストンとに落ちました。

 決してアメリカ人が理解不能な人たちでは無いと思った次第です。


 そこからさらに私の考えは飛躍して、ロシアウクライナ問題に飛びました。


 今年の2月に、ウクライナ東部の親ロシア派の独立承認をするロシアの安全保障会議で、プーチン大統領がずらりと並んだ政権幹部一人一人から、承認を支持するよう詰問していた映像が流れたのを覚えていらっしゃるでしょうか?

 強面こわもての政権幹部が、プーチン大統領の迫力に気圧されてたじろぐシーンがまるで映画のワンシーンのようでした。


 でもそこに宮廷道化師が居てくれたら、そして「そんな事をしたら世界から総スカンをくらいますよ。やめましょ」って言ってくれたら、多くのウクライナ人やロシア人が傷付き死ぬことはなかったのでは、と思わざるを得ません。


 独裁者の側にこそ、自由な振る舞いが許される宮廷道化師のような存在が必要と思いました。

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