乙女ゲームのように人生一度でいいからモテてみたいと思いながら死んでしまった私が、異世界で三人の義兄弟の王子達から求愛されて悶絶死しそうになる ~ロドリア~ 【モテ悶3】
コン!コン!
私はロドリアお兄様の部屋のドアをノックした。
「どうぞ」
ギー!
「失礼します」
「ん、ユフィアか? 体調はもう大丈夫なのか?」
ロドリアお兄様が微笑みながら、そう言った。
「お陰様で元気になりました」
「それなら良かった。……それで、今日はどうしたんだ?」
「あ、いえ、病気の間、看病をして下さっていたと従者にお聞きしましたので、お礼をと思いまして……」
「……妹を大切に思うことは当然だろう? それにお礼を言われるほど大したことはしていない」
ロドリアお兄様は素っ気なくそう言ったが、王子達は私が目覚めるまで、ずっと傍にいてくれていたと聞いている。
「いえ、たとえそうであったとしても、お礼はさせて下さい。ロドリアお兄様、本当にありがとうございました」
「ま、まあ、元気になって良かったな……」
そう言った後、ロドリアお兄様はそっぽ向いたが、私には顔が照れていたようにも見えた。
ツンデレ?
ツンデレなのか?
「あれ、ロドリアお兄様、どこかに行かれるのですか?」
よく見ると、ロドリアお兄様は身支度をしていたようだ。
「ああ、ユフィアが急病だと聞いて急いで戻って来たが、まだ国境では戦いが続いているからな……」
「……どうして王子である、ロドリアお兄様が戦地へ行かなければならないのですか?」
素朴な疑問を投げかけると、
「……そうか……。ユフィアには、まだ言っていなかったか……」
と、ロドリアお兄様が神妙な面持ちで呟いた。
「……実は、俺は王と王妃の実の子ではないんだ……」
「……そうだったんですね……」
王子達があまりにも輝いて見えていたので、ついニヤニヤしてしまっていたが、当然、王子達にもそれぞれの事情があって悩みもある。
浮かれまくっていた自分を反省する。
「当時、王と王妃の間に子供が恵まれなかったので、分家
から俺が養子として来たんだが……。その後、ラフタスが無事に生まれたから、俺が王位を継ぐ必要はなくなったんだよ」
「………それで、どうして、ロドリアお兄様が戦地に行かないと行けないんですか?」
「え?」
ロドリアお兄様が驚いた表情をしている。
「あ、いや、王位をラフタスが継ぐことになったからといって、ロドリアお兄様が戦地に行く必要はないですよね……」
「王位を継がない以上、国を護るために、俺が戦地に行くのは誰もが当然と思っていたんだが……。……ユフィアはそう言ってくれるのだな……」
バッ!
え、え、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
急に、ロドリアお兄様が私を抱き締めた。
「ロ、ロドリアお兄様?!」
突然の出来事に、頭が混乱している。
王子様に抱き締められるとか。
妄想は何度もしたことはあったけど……
これはヤバい!!
ヤバすぎる!!
……現実にこんなことが起きるなんて……
もう、死んでもいいかも……
「……頭では、ユフィアは弟のどちらかと結ばれた方がいいと分かっているんだけどな……」
「え?」
ロドリアお兄様の声が小さかったため、聞き取れなかった。
「……明日から、俺は戦地に行かないといけない……。だから、今は少しだけ、こうさせてくれ……」
「……はい……」
「す、すまなかった……」
ロドリアお兄様が平謝りしている。
「あ、いえ……」
むしろ、ご馳走様でした。
……でも……
できれば戦地になんて行ってほしくないなぁ……
「……ロドリアお兄様……。……もし、私が戦地には行かないでほしいって言ったら、どうしますか?」
「………………」
ロドリアお兄様が、しばらく無言で考え込んでいる。
「……ユフィアにそう言ってもらえるのは、正直、嬉しい……。が、俺はそれでも戦地に行くだろうな……。俺は家族と……、この国を護りたい。そう思っているから……」
……何て人なのだろう……
自分のこと以上に家族や国のことを考えている……
こんなん惚れてしまうわ!!
私は心の中で叫んだ。
「……分かりました……。でも、もし私にもできることがあれば、何でも言って下さいね」
「ふ、もう十分もらったよ」
そう言って、ロドリアお兄様は、私の頭をポンポンした。
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
頭ポンポン、キターーーーーーーーーーーーー!!
今日だけで、何回悶絶したか分からないが、とにかく、幸せ死というものがあるのなら、こういうことを言うのだろうと思った。
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
短編なので前回の続きではありませんが、『モテ悶』の第3弾を書いてみました。
時系列関係なく好きな話を書いて、話が溜まってきたら、編集して連載小説として投稿するのもありなのかなぁとか考えています。
評価が多いと続きを書きたくなる気持ちになりやすいので、もし続きを書いて欲しいと思った方がいましたら、画面下の「☆☆☆☆☆」から評価をよろしくお願いします。
感想も気軽に書いていただければと思います。
ブックマーク登録は嬉しいですが、続きを書くにしても、しばらくは短編で投稿して行くことになると思いますので、お気に入りユーザで登録してもらった方が便利かもしれません……
続きではありませんが、『モテ悶4』を短編で書いてみましたので、よかったらそちらも見ていただけると幸いです。