メガフレアが撃てるようになった黒崎さん
書きかけに
オチだけ付けた
手抜き感
しいたけ心の俳句。
「聞いて! 私、メガフレアが撃てるようになったわ!」
今日はエイプリルフールだったかな?
それとも新手のジョークかな?
黒崎さんが顔を真っ赤にして両手を振ったのは、僕がアゴをしゃくれさせて「……」なセリフを出した直後だった。
「本当よ! メガのフレアをぶっ放せるのよ!?」
口をとがらせ半信半疑な僕は、「じゃあ……」と呟き、犬の散歩をしていたお爺ちゃんを指差した。
「やってみてよ」
「割と罪の無いお爺ちゃんを脈絡も無く殺すの!? 何の冗談!?」
冗談だと思ったからお爺ちゃんを指定したんだけどさ。
それと別に殺さなくても良いんじゃないかな?
「……いくよ?」
黒崎さんの髪が僅かにそよいだ。
黒崎さんを包む空気が変わるが、僕はそれを呆然と見つめるしかなかった。
「メガフレアーーーーッ!!」
元気いっぱい叫んだ黒崎さんが突き出した両手から、獄炎が噴き出した!
「──えっ?」
放たれたメガフレアは散歩のお爺ちゃんのそばを通り過ぎ、県知事が何かの記念に建てた土井中県民の像に直撃した。
「どう?」
両手を腰にあて、えへんと黒崎さんが僕を見た。
上半身が溶けた土井中県民の像と腰を抜かしたお爺ちゃんと黒崎さんが全く結びつかないが、それでも僕が見た光景は現実なのだろう。
「え、ええ……っ!?」
異変に気が付いた人達が集まりだした。
「ヤバい、逃げよう黒崎さん!!」
黒崎さんの手を引いて、一目散に逃げ出した──
「なあ」
全力疾走の疲れからようやく解放された矢先、友人が休み時間に話しかけてきた。
「ん?」
ニヤつく友人に素っ気ない返事をくれてやる。どうせろくでもないことなんだろう。
「正常の反対ってなんだ?」
「……異常じゃね?」
少し間を置いて普通に返す。
「じゃあ、正常位の反対は?」
「……異常位」
話の流れからすると、返事はこうなるに違いない。
「異常な体位ってなんだ?」
「そもそも一目見て『異常だ!』って言えるような体位を見たことがないから知らない」
「だよなー。道程君に聞いた俺が間違ってたよ」
「死ね」
終始冷静に返事を返し、僕は次の授業に備えた。
「ねえ黒崎さん正常の反対って知ってる?」
「黒崎さんに聞くなよ──!」
慌ててアホを制止するが既に黒崎さんは少し考えた顔をしていた。
「異常?」
「じゃあ正常位の反対は?」
「だから聞くなってば!」
と、慌てて黒崎さんを見ると、養豚場の変態を見るような目で友人を見つめていた。少なくとも人に向けていい顔では無かった。
「メガ──」
「!?」
慌てて黒崎さんの口を押さえた!
「ダメ! ダメ……ッ!」
首を横にブンブンと振り、黒崎さんを落ち着かせようとした。
「なんだなんだ? お前黒崎さんの口触って──あ、異常位か?」
黒崎さんの額に特大の筋が立った。と同時に僕の手が払われた!
「メガフレア!!!!」
「黒崎さ──」
慌てて黒崎さんの手を窓の方へと向けた。
凄まじい轟音と共に放たれた炎は、窓の外へと発射され、駐車場へと飛んでいった。
駐車場には買ったばかりの愛車から降りてスキップをする英語の横田先生が居た。
まるでドッキリのような素晴らしい爆発。
赤いスポーツカーが一瞬で廃車となった。
「──!!」
横田先生が目を丸くしてスポーツカーのスクラップを見ている。
タイヤが転がり、目の前で倒れた。
「あ……」
黒崎さんが青ざめている。
「ハ、ハハ……」
友人の笑いは引きつりを通り越して作り笑いとなっていた。
僕は黒崎さんの手を引いて教室を飛び出した。
「で、お母さんったらそのまま空き地で『私と付き合ってくれなかったら、頭を吹き飛ばす』って赤くなりながら告白してきてね」
「シャラーーーーップァ!!」
なれ初めを聞かせた娘が、退屈そうにストローをくわえた。
「はいはいアホくさ」
そう言って自分の部屋へ向かう。
思春期だなぁ、と二人で笑った。
凄まじい爆音が聞こえたのは、それから間もなくだった。
「お父さん何か出た!!!!」
「思春期だなぁ」
二人で笑った。
ずっと書きかけで気になってたから、どうしても載せたかった。許して!