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【コント】落し物預かりセンター

作者: 紅之糢糊

店員「落し物預かりセンターのバイトに応募したはいいけど、色々あるな。なんだこれ、タッチ二巻から二十五巻? 最初と最終巻だけねえじゃねえか。どう始まって、どう終わったのか分からないとか、もどかしすぎるだろ」


客「すみませぇん。落し物を探しに来たんですけど」


店員「あ、はい。どう言ったものを?」


客「茶色い液体なんですが」


店員「茶色い液体? 麦茶でしょうか」


客「いえ。あと少しベタベタしてて、ちょっと臭いんです」


店員「え、もしかして犬のフンとかですか? ここ犬猫は遠慮させて貰ってるんですが」


客「犬は飼ってませんよ」


店員「え、じゃあ他に手がかりは?」


客「あと排気口とかに元々ついてたんですけど、この前掃除してたら落としちゃったんです。汚れ」


店員「いや汚れかい!」


客「落し物預かりセンターがあったので、落とした汚れを預かっていないかと尋ねたんですが」


店員「預かってるか! そんなの。汚れが落ちたなら良かったじゃないですか」


客「いやあれがないと、うちの居酒屋の古臭い雰囲気を出せないんですよ」


店員「知るか! あと一年くらい焼き鳥焼いてりゃ自然と出てくるよ!」


客「なら良かったです。失礼します」


店員「なんだったんだあのやべーやつ」


客「すみませーん」


店員「はい、探し物ですか」


客「ええそうなんです。ここ二十年探してるんですけど見つからなくて」


店員「そんな探してるんですか!」


客「ええ、それを探しにアフリカに行ったりニューヨークに行ったり、クロアチアに行ったりしたんですけど見つからなくて」


店員「世界中回って見つからないのに、こんなスーパーでは見つからないと思うんですけど……あ、もしかして「探し物は自分」とか言うんじゃないんですか? 世界各国回って探してるなんて大げさに言って!」


客「いや、違いますけど。今どき自分探しとか恥ずかしい。大の大人が二十年も世界回って自分探しとか両親に顔向けできないでしょ。大体さーー」


店員「もういいんじゃないかなぁ! 言いたいこと分かったからもう言わないで」


客「はぁ。……あぁ!」


店員「どうしました?」


客「ありました探し物!」


店員「え、どれです?」


客「タッチの二巻から二十五巻です!」


店員「これお前のだったの?! そりゃ海外回っても手に入らないわ、こんな漫画セット」


客「いやあ、こんなとこにあったとは......! 一巻と最終巻しか無かったから、かずやが死んだと思ったらもう最終回でしたよ! 甲子園までの練習とかどうなったの? って感じでもどかしかったんですよ!」


店員「そりゃそうだろうね。まあ見つかって良かったね」


客「ありがとうございました! また来ます!」


店員「もう来なくていいよ!」


客「あのぉ、こちらは落し物預かりセンターでしょうか?」


店員「蝶ネクタイにチェックのシャツ? また変なやつが来たよ。そうですけど、何かお探しものですか?」


客「ええ、私何もしてないのに毎日落し物をして困ってて。ついさっきもそこの入口で、包丁の叩き売りをしていた時に落としちゃったんです」


店員「もしかして包丁ですか? それだったら危ない。でもこちらには包丁は届いてないですね」


客「いえ包丁でも、ものでもないんです」


店員「ものでもない? とすると何を落とされたんですか?」


客「私の評判です」


店員「知るか! 包丁を叩きつけて売ってるからじゃないのか?」


客「え、包丁の叩き売りって、お客さんに包丁を叩きつけて売るんじゃないんですか?」


店員「違うわ! バカだねあんた。そんなわけないじゃん」


客「うわーそれなら困ったなあ」


店員「何が?」


客「ほら入口の所に何人かおばさんが倒れてるでしょ。どおりでお金払ってくれないわけだ」


店員「おいおい! お前の評判の前に、おばさんたちが命を落とすわ!」


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