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5歳になりました

今回もホラー要素をふくみます。

どうしてこうなった...

 



 5歳になりました。


 この2年間でやったことは純粋に知識を増やすことと貴族教育だ。


 知識を増やすのは今まで通り家の書庫にある本を読み漁って分からないところは両親やメイド、セバスに聞きまくった。おかげでもうこの世界の常識は完璧と言っても過言ではないと思う。でも、まだまだ知らないことは沢山あるので家の書庫にある全ての本を読み終えるまではこの習慣をやめるつもりはない。


 貴族教育は主にマナーやダンス、魔法の基礎の基礎をやっている。

 とくにマナーがめんどくさい。やっぱり貴族は性に合わない。




 それで今俺は何をしているかというと、魔法属性鑑定をする儀式をするため自室で待機しているところだ。


 なぜ別室待機なのかメイド長のアンに聞いてみたら、


「色々と準備が有りますので」



 としか答えてくれなかった。


 メイド長には「何故」「なに」って聞き過ぎたかなぁ。



 最近はだいたい


「申し訳ありません。私では分かりかねますのでセバスに聞いて参ります。」



 って返されるし...。


 今度何か甘い物でも作ってあげようかな...。地球の知識を使って...。




 などと考えていたら準備が整ったらしく、メイド長に連れられて前回、先天スキルの鑑定をした部屋に連れて行かれた。




 ドアを開くと前回と特に変わりのない光景が広がっていた。


 あえて違う点を挙げるなら、セバスの衣装が変っていることとセバスの目の前にガラス玉が置かれているぐらいである。



「さて、ディーン様。心の準備はよろしいですかな? 」



「はは、今回も特に大丈夫だよ。」



「では、ディーン様。この玉に手を置いて魔力を流してください。」



「うん。」


 セバスに促されて玉に手を置いた。

 え? 魔力を流せるのかだって? 実は先天スキルが分かってからの貴族教育では魔法に触れる機会が少し増えたのだ。


 おそらく、俺の先天スキルが魔法よりなのを見た結果だと思われる。そのなかで魔力を流すことは魔法行使どうこうの前に魔力で動く様々な物が使えるかどうかに関わってくるので、一番最初に教えられたのだ。


 それに、本を読んでいる間も魔力を流し続けたりしてたからそこそこ自信があるのである。




 魔力を玉に流し込むと徐々に玉が光り始めた。


 その光は先天スキル鑑定の時とはまた少し違って、まぶしい光だった。


 光の強さに思わず目をつぶってしまった。




 目をゆっくりと開くと、そこには銀色に優しく光る玉があった。



 銀色... つまり月属性... 


 やったーーーーー!! って叫びたい気持ちを必死で隠す。

 何でかって? この世界では月属性は無属性よりはマシだけど、圧倒的外れ扱いされてる属性だからだよ。


 ここで喜んでるのがばれたらかなり不思議がられるので、必死で隠す。




 周りの反応が悪い。


 まあ当たり前と言えば当たり前だな。


 ただ、マリーナ母さんとエイデン父さんとエリック兄ちゃんは属性で差別するような人ではないし、セバスやメイド長も「アンガー家の次男として」とかいうタイプじゃないから家から追い出されることはないだろう。


 だけど、周囲が黙っちゃいないだろう。これから先、学園やらなんやらで身内以外と接する機会が多くなってくる。そうすると周りからとやかく家を引き合いに出して言われるかもしれない。


 そのために、誰もが納得する強さを手に入れなければ...




 ***




 儀式は微妙な雰囲気で終了し、その後の夕飯もややギクシャクしたままだった。


 夕食の後、みんなが寝静まった時間を見計らって一冊の本を片手に裏庭に出た。

 裏庭は小石や砂利が敷き詰められており、魔法や格闘の訓練によく使われているためか美しさよりも実用性が重視されている。


 持ってきた本はタイトルこそ『月魔法の全て』と大げさに書かれているものの、厚さはせいぜい中学生の英語の教科書一冊分くらいしか無い。大きさもA4くらいだ。


 この本にはタイトル通り月魔法の全てが書かれている。ただし、この世界の知識の中での話だが。




 まず、初歩の初歩。


「『我が手に月の力宿さん、ルナ・ボール!! 』」



 言葉を紡ぐのと平行して魔力を流し、手のひらに魔力を集める。


 すると、銀色に輝く玉が形成されテニス大になると的であるそこそこ大きめの岩に向けて発射された。


 岩に当たると本物のボールであるかのように跳ねっ返ってきた。

 ってこのままだと俺に当たらない!? 俺はとっさに手で顔をガードした。


 跳ね返ってきた魔法が手に当たるが、痛みは皆無である。



 おかしくない!? 基本的に自分で放った魔法であれ、当たればダメージを受けるのだ。それが皆無って... もしかして、魔力に弾性があるんじゃない?


 月... 月...

 あっ! まさか弾ずんでるんじゃなくって反射してる!? それなら手に少し残ってた魔力と魔法が反射し合ってダメージがなくなったとしても不思議じゃ無い。

 それに、月は太陽光を反射してる。


 この反射性は要検証だが、これは大発見である。



 楽しくなってもう一度放ってみる。

 すると、前よりも魔法が明らかに跳ねる。 


 これはもしかして、正しく魔法について理解したから本来の能力が発揮されたのか? 


 それならこんな風に遊ばずに次に進むべきだ。



 次に物を引き寄せる魔法だ。


 これも月の特性から考察するに、月の引力が関わっているのだろう。


「『我、思う物を引き寄せん、アポート!! 』」



 今度はさっきの岩では無く、近くにあった小石に魔法を放った。


 しかし、魔法を放った小石はふわふわと魔力を集めた右手に飛んできた。


 おかしい。月の引力はこんなに弱くない。イメージがずれてる? いや、そんなことはない。本によると『物を少し引き寄せる程度』と書かれている。

 なら危なっかしくとも俺の手に収まったのはイメージが正しい証拠だろう。



 うーん。もしかして呪文が間違っているのか? イメージが間違った状態で作られた魔法なら間違っている可能性が高い。ならどういう呪文が正しい? 月の引力をイメージさせるような呪文は...





「『我、月の力をこの手に集めん、ルナ・アポート!! 』」



 先ほどと打って変わって勢いよく小石が俺の手のひらに吸い寄せられた。



「ははっ、こいつはすごい!! この力を上手く応用していけば、この世界最強のハンターにだって最強の魔法使いにだってなれる!! 

 けど、この力がばれるとまずい。ひとまず、才能なしに見えるようにして、見下される状況を作り出さねば... 」



 こうして俺は自分に与えられた力に歓喜しつつも今後の立ち回りを考えつつ、ベットに向かうのだった。




 ***




 エイデン視点



「ねえ、あなた。」


「なんだい、マリーナ。」


 そろそろ明かりを消そうとしたら、妻が不安そうに訪ねてきた。



「ディーンは大丈夫かしら。」



「君にしては珍しいじゃないか。相手の()()を読み違えるなんて。」


 本当に珍しい。()()の時は文字通り必中だった。



「違うわ、エイデン。ディーンはあの結果に喜んでた。必死に隠してたけど。

 普通自分が月属性だって言われたら多少なりとも落ち込むものじゃない? 

 けど、ディーンは逆に喜んでた。それも長年欲しかった物を手に入れたみたいに... 」


 本当にそうだ。あれだけ本を読んでいたら月属性に関する知識もあるだろうに。



「うん。僕も気になってた。

 ディーンから無理矢理聞き出すかい? 」


 冗談で妻に返す。



「エイデン? 」


 すると、ディーンがメイに歳を訪ねた時以上の冷たい声がかえってきた。



「冗談だよ。息子にそんなこと、するわけ無いじゃ無いか。」



「あなたならやりかねないのよ。」


 ものすごいジト目でにらまれた。

 そう言われたたら降参だよ。すねる妻の顔を横目に僕もベットに入った。




 ***




 ???視点



 あはは


 あはは


 あはははははははは


 ざまあみろ!! 私から何もかも奪おうとするから天罰が下るんだ!!


 あは


 あははっははは


 あはははははははははははははは


 やっと、


 やっと、、、


 私に運が向いてきた、、、、


 あは


 あはははははははははははははははははははは!!!! 



次回から本格的に物語が進みます。

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