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リスさんの願いとドングリ池

童話は分かりやすさが命


ここは逆さ虹の森


今日はみんなで何やら話し合っているようです




「大きな池?」


そう言うのは怖がりのクマさん


臆病だけど、この森一番の力持ち




「そうです。森のずっと西の方で見つけたんです」


歌上手のコマドリさんがさえずるように話しています


どうやら新しい発見をしたようですね




「そういえば聞いたことがあるぜ。この森にはどんな願いも叶えてくれるっていう『ドングリ池』ってぇのがあるって」


少し荒々しく喋るのは暴れん坊のアライグマさん


気性は荒いけど、本当は優しいんです




「どんな願いでもかぁ。もぐもぐ。僕は食べきれないくらいの卵が欲しいなぁ。もぐもぐ」


木の実を食べながら話すのは食いしん坊のヘビさん


みんなの分の食べ物まで食べちゃうのがたまにキズ




「私も聞いたことがありますよ。なんでもドングリをその池に入れると願いが叶うそうです」


物知り気に話すのはお人好しのキツネさん


この森一番の常識人…いやいや常識狐




「ドングリっていうと」


みんなは一斉にある方向を向きます




「な、なんだよ。やらねぇぞ!ドングリはおいらの大好物なんだ!」


慌てているのはいたずら好きのリスさん


おやおや、いつもは誰かにいたずらしているのに、今日はリスさんがいたずらされる番ですかね?




「そんなこと言うなよ。ケチくせぇ」


アライグマさんはリスさんにご立腹の様子


喧嘩にならないといいんですが…



「まあまぁいいじゃありませんか。リスさんあなたが叶えたい願いはありませんか?」


キツネさんが仲裁に入ります




「うーん、そう言われてもなぁ………あ!」


リスさんは何か思いついたそうです


「何かあった?」


クマさんはリスさんのお願いに興味津々のようです


「じゃあ今度みんなで行きましょうよ。リスさんの願いを叶えに」


コマドリさんは嬉しそうに言います




「よぅし、じゃあ明日みんなでドングリ池に行くぞ!」


「「「「「おーーー!!!」」」」」


みんな張り切っていますね


でも、どんな苦難が待ち受けていることやら………




「よし!みんな行くぞ!ドングリ池へ!」


冒険のためのリュックと帽子をかぶったアライグマさんが…いえアライグマ体調が意気揚々と言います


他のみんなも水筒やお弁当、双眼鏡や木の棒を持って準備万端です


もちろん、リスさんは身の丈ほどある大きなドングリを大事そうに抱えて




さぁ冒険の始まりです


空からコマドリさんがみんなが進む方向を教えてくれます


しばらく歩くと、ヘビさんが口を開きました


「お腹が減ってきたなぁ」


ヘビさんはいつも通りの調子ですね


「まだ歩き始めたばかりじゃないですか」


キツネさんはからかうように言います


あれれ?いつもはこういうことはリスさんがいうはずなのに、どうしたのでしょう




するとコマドリさんが空から降りてきたました


「この先に川があるの。近くに橋があるけど…」


コマドリさんは不安そうな顔で言います




みんなは橋まで辿りつきました


でも橋はオンボロでいまにも崩れてしまいそうです


「こ、こんなところ渡るの?」


怖がりのクマさんは震えた声で言います


「でもよ。ここを渡らなきゃドングリ池にはいけないぜ。ほら行くぞ!」


アライグマさんは余裕の表情です


はたして大丈夫でしょうか………




みんなはそろりそろりと橋を渡ります


それでも橋は揺れてしまい、みんなはバランスを取りながら必死に渡っています


最後尾にいたリスさんも大きなドングリを持ちながら頑張って渡っています


もうすぐみんな渡りきれますね


よかったよかった




しかし、後ろから二番目にいたクマさんが橋をあたりきると橋は大きく揺れてしまいました


その拍子にリスさんはバランスを崩して橋から落ちてしまいそうになります


危ない!




「クマさん!僕を使って!」


ヘビさんはクマさんに呼びかけます。


クマさんはヘビさんの尻尾を掴んでロープのように使いました


ヘビさんは住んでのところでリスさんのリュックをつかむことができました


ふぅ、なんとかなったようですね




「あ、危なかったぁ」


九死に一生を得たリスさんはまだ心臓がばくばく鳴っています


「あ、ありがとう。クマさん。ヘビさん」


「気にしないでよ。ああよかったリスさんが助かって」


クマさんはホッと安堵します


「僕も役に立つってわかっただろう」


と得意げなヘビさん


ナイスプレイです


でもまだ一つ目の難関を突破したばかり、実はもう一つ難関があるんです




しばらく歩くと、いつもの森の木々よりも幹が太い木が並んでいます


根っこはまるで大蛇のようでとても恐ろしいです




「なんだ?ここ。気味が悪いな」


ヘビさんは歩きながら言います


「ぼ、僕もちょっと怖いかな………」


クマさんも怯えているようです


「へ、へん!別にこんなん怖くねえぇよ!さっさと行こうぜ!」


アライグマさんが威勢良く言うと、木の根っこがアライグマさんに絡みつきます


「な、な、なんだよ!これ!壊れは怖がってねえぞ!来るなら来いよ!おらぁ」


アライグマさんは必死に抵抗しますが、木の根っこはとても太く身動きが取れません


「思い出しました!ここは根っこ広場です。嘘をいうと根っこに捕まってしまうんです!」


キツネさんが慌てて言います


「嘘なんか言ってねえよ!う、く、苦しい…」


アライグマさんの抵抗も虚しく、根っこはどんどん絡まっていきます


アライグマさん、本当に嘘は言っていないんですか?




アライグマさんは観念したように叫びます


「わかったよ!怖いよ!みんなー助けてくれー!」


そう言うと根っこはみるみるしぼんでアライグマさんから離れていきました


アライグマさんは涙目になっています



「アライグマくん、嘘は良くないですよ」


とキツネさん


「でも強がりたい気持ちもわかるなぁ」


とヘビさん


「ぐす、ぐす、わかったよ。もう嘘は言わないよ」


アライグマさん、強がることも時には大事ですけど、助けを求めることはもっともっと大事なことなんですよ




そうして一行はドングリ池にたどり着きました


さぁリスさんはどんなお願いをするのかな?


リスさんは意を決してドングリをいけに投げ込みます


そして大きな声で言いました


「みんなともっと仲良くなれますように!!!」




そんなお願いなんてしなくていいのにね


だってこの冒険でみんなの絆はもっと深まったんだから





おしまい

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