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自分の嫌いなところ

童話というより、絵本みたいになってしまいました。

でもこういうのがあってもいいんじゃないかなぁ。



「はぁどうしよう」


おやおや、切り株に座って困っているのは怖がりのクマさん


何やら困っている様子。どうしたのでしょう


するとお人好しのキツネさんが現れました


「クマさん、どうしたんですか?」


優しいキツネさんはクマさんに尋ねました




「実は…昨日ヘビくんと遊んでいたら、ヘビさんのおなかに僕のこの爪が当たってしまったんだよ」


クマさんはむき出しになった爪をいじりながら言いました


それはそれは痛そうです


「それは大変ですね。ヘビさんには謝りましたか?」


悪いことをしたら謝るのが大事ですね




「うん。でもヘビくんはそんな爪があるクマさんなんか嫌いだって言うんだ」


クマさんは項垂れながら言いました


可哀想です




「こんな爪なんてなければ良いのになぁ」


クマさんはシクシクと泣き始めてしまいました




そこに暴れん坊のアライグマさんが現れました


「ヨゥヨゥ、どうした。ショボくれてよぅ」


アライグマさんは少しいらだっているようです


どうしたのでしょうか




「あ、アライグマさん。実は…」


キツネさんはこれまでのいきさつを説明しました




「なんでぇ!そんなこと気にするなよ!おめぇの爪はよ、魚とりに役立つじゃねえか。俺たちは毎日お前が取ってくる魚を楽しみにしてるんだぜ」


そうです


クマさんはその爪を使って、森のみんなのためにお魚を取っているのです。


爪がなかったら、お魚は取れません。


キツネさんも


「そうですよ。その爪は役に立っているんですよ」


と言います




アライグマさんがまた話し始めました


「それよりよ。問題なのは俺様のこの性格だよ。この気性のせいで仲良くしてくれる奴があんまりいないんだ」


アライグマさんは悲しそうです


「あ〜あ、性格なんてそう簡単にか押せないし、どうしようもないぜ」


アライグマさんは話していると泣きそうな顔になってしまいました




そこにいたずら好きのリスさんが現れました。


「やぁ、どうしたんだい?暴れん坊のアライグマが泣いているなんて珍しいじゃないか。みんな〜アライグマが泣いているぞ〜」


いたずら好きのリスさんはこれ見よがしにアライグマさんをいじめます




アライグマさんはとうとう大声で泣き出してしまいます。


その様子にキツネさんはリスさんを叱ります


「こら!アライグマさんは本気で悩んでいるんですよ!」


お人好しのキツネさんが言葉を荒げるのはとても珍しいことです。


リスさんは怒ったキツネさんに驚いて


「な、なんだよ。みんなを笑わせようとしただけじゃないか」


と慌てています


リスさん、悪い冗談ですよ


隣ではアライグマさんがわんわん泣いています


それにつられてリスさんも泣き出しそうになってしまいました




そこに歌上手のコマドリさんが現れました


「皆さん、どうしたんですか?まずはみんな泣き止みましょう。ららら〜」


コマドリさんは得意の歌でみんなを泣き止めます




「どうしてこんなことになったんですか?」


コマドリさんは聞きます


「実は…」


とキツネさんがこれまでのいきさつを話し始めます




「なるほど、わかりました」


コマドリさんはそう言うとみんなの方に向き直りました。


「実はですね。私は昔、自分の声が嫌いだったんですよ」


えぇ!?とみんなは驚きます。


コマドリさんの歌声はとても綺麗なのに、なんで嫌いになるんだろう


みんなは不思議に思いました


「私は自分の甲高い声が嫌いで、あまりみんなとも話せず、一人でこっそり歌っていたのです」


コマドリさんはう少し俯いてしまいます


しかし、すぐに前を向き


「でも、みんなが私の歌が綺麗だと言ってくれたおかげで立ち直れたんです」


みんなはなるほどと手を叩きました




コマドリさんは続けて


「皆さんが自分でも嫌っているところも実は良い部分があったりするんですよ」


と言います


みんなは再び疑問に包まれます


「アライグマさんの乱暴な性格のおかげでこの森には悪い動物は近づきませんし、リスさんのいたずらだってみんなを笑わせるためにやっていることでしょう?」


そう言われればそうだ、とみんな納得しました




リスさんは


「ま、まぁ俺は悪いところとは思ってないけどな」


と言います。


そこにキツネさんはいいました


「リスさんはもう少し反省してください」


みんなそれが可笑しくて大声で笑い会いました。




コマドリさんはクマさんの方を向いて


「クマさん、その爪で一番助かっているのは蛇さんなんですよ。おの方は食いしん坊ですから」


クマさんはああることに気づきます


「ああ!そうだ!今日はお魚届けてないや!」


コマドリさんはニッコリして


「じゃあこれから一緒に届けに行きましょう」


と言いました


ナイスアイデアです


クマさんたちはみんなで一緒に蛇さんの家に向かいました


両手にいっぱいのお魚を携えて




ヘビくんの家の前まできたクマさんたち


でもクマくんは少し不安になっている様子


「大丈夫ですよ。ヘビさんも分かってくれます」


とキツネさんがクマさんを元気付けます




とんとんとん


「お〜い、ヘビくーん」


クマさんは大声で呼びかけます




………カチャ


「あ、クマさん」


ヘビさんが扉をあけて出てきました


クマさんは改めて昨日のことを謝ろうとします


「ヘビくん、昨日はその………」


するとヘビさんが口を挟み


「いや待ってくれ!謝るのは俺が先だ」


と言います


クマさんはあっけにとられた様子でヘビさんを見ています


「昨日はごめんな。毎日毎日、魚を恵んでくれるのに、その自慢の爪を嫌いだなんて言っちまってよ…」


ああ、良かったですね、クマさん





「うぅ…良かったよぅ」


クマさんは嬉し泣きをしてしまいます


その様子を見たリスさんは


「あ!クマのやつ泣いてるぞ!嬉しいのに泣くなんて変なやつだなぁ」


とからかいます


クマさんは言いました


「えへへ、本当だね」


と涙を流しながら、笑いました




森のみんなもつられて大声で笑い会います


「さぁ、今日はこのままお魚パーティだ!」


アライグマさんがクマさんが持っていたお魚をみんなに配ります


そしてコマドリさんが綺麗な声で号令をかけます


「さぁみんな、せーのっ」


「「「「「「いっただっきまーす」」」」」」


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