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第9話「早速ですが居残りです」

放課後。私はサクヤと一緒にゴードン先生の前に立っている。


「お前ら、自分が何をしたか理解してるか?」


真面目そうな顔で聞いてくる。変なことはしてないと思うけど......?


「はい!火を出しました!」

「僕は水です......」


堂々と言う私に続いてサクヤは怯えたように答えている。


「あー......そうじゃねぇんだよ。っておい!アイリーンは少しは反省しろ!一歩間違えたら火事だったんだぞ!?」


先生は私の頭をグリグリする。痛い。

でもそう言われて初めて分かった。私は初めて魔法が使えた事でテンションが上がっていたけど、あれは危険なことだったんだ、と。


「アイリーンは自分のした事をちゃんと振り返るように。で、サクヤ」


呼びかけられるとビクリと身体を震わせるサクヤは弱々しい印象で可哀想だなと思った。


「お前はなんで水が出せたんだ?あぁ、責めてるわけじゃない。お前は平民で、魔力の操作を習ったことがないだろうと考えているからだ。どうだ?」

「家の家事を手伝っている時に......出来るようになりました。僕にもよく分からないんですけど......」


貴族は学園に入る前から習ったりするの?知らなかったですよ先生。でも確かに貴族の大半は今日の魔水晶染めが出来てた感じがしたかも。

先生は大きくため息をついて言った。


「お前も天才肌か......。レオナードが目をかけてるのは分かってたはずなのに深く考えてなかった俺も悪かったな」


先生はサクヤの頭を撫でてから私の方に向き直った。


「でだな。アイリーン。これからも魔力を扱う授業をする訳だが、その度に発火騒ぎになるのは困るのは分かるよな?」

「ソウデスネ」


あれ......?これ私だけ怒られるコース?


「お前らが作ったのは魔力玉と呼ぶ。アイリーンは炎属性、サクヤは水属性だ。本当は無属性の魔力玉を作れるように教えるはずだったんだが、お前らはその過程をすっ飛ばしてる」


怒られないかも?良かった!んー......文字の練習を飛ばして文を書いてるみたいな感じ?


「だから今から無属性の魔力玉を作れるようになってもらうぞ。特にアイリーン」


違いましたねぇ。これは居残りコースだ。でも難しい方ができるんだからできるでしょ。


「先生!出来たら帰ってもいいんですよね?」

「あぁ。出来たらな」


よぉし。じゃあやってやろうじゃない。

気合いを入れて魔力を掌に集める。これはもうお手の物だ。

それを押し出して玉にすると......待って火だ。


「サクヤ」

「っはい!」


先生の呼びかけでサクヤが水の玉を作って消火してくれる。

ジュワァという音とともに火も水も残ることなく消滅した。

サクヤって平民なんだよね?私よりも軽々と魔力玉作ってない?これが才能の差?


「なんで火に......」

「魔力=火という固定概念がアイリーンの中に出来てしまったのかもな。ワークテリアの家系は無属性の魔力玉を作るの苦手だからなぁ」


親兄弟が技を使っているのを見てるせいかもな、と先生が補足してくれる。

え、家族みんなこんな感じなの?ちょっと嬉しくない。


「むむ......先生。お手本を「出来ました」えっ?」


声のした方を見ると、サクヤの手の上に白がかった透明な玉が浮いていた。それが無属性?

先生の方を見ると頷いて、「もう出来たのか」だって!

え〜〜〜なんで?私と同類かもなんて思ってたのに。


「アイリーン、お手本を、だったな?サクヤに見せてもらえ」


無属性の魔力玉は静かに弾けて消えた。確かにこれなら危なくない。


「もう1回!もう1回!」


私のコールに戸惑いながらもサクヤは無属性の魔力玉を作り出した。

でも見せてもらったことでイメージが簡単になる。穏やかな感じの魔力で作り出せばいい。


「!出来た!!」


私の手の上にはさっき見た無属性の魔力玉。成功だ。


「思ったよりかからなかったな。流石と言うべきか」


先生は感心したように褒めてくれた。

ちょっと得意になってサクヤの方を見ると、私が魔力を集めてる間に、サクヤは先生に指示されるままに魔力玉を作っていたらしい。3個の魔力玉が弾けて消えた。

え、この子優秀なのでは?


「お前らはクラスの中で特に秀でた才能があると言っても過言ではないだろう。周りと違うことを自覚しておいてくれ」


先生のその一言をまとめとして、私達の居残りは終了した。

これで帰れる!とうきうきして私は教室を出る。


「今年のクラスはみんな覚えがいいからな。遠足までにちゃんと間に合いそうだ」


先生が呟いた言葉は私の耳には届かなかった。

ペースを上げれるように頑張ります

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