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第7話「私に予想出来ただろうか。いや、無理だ」

「レオナード・ウークトドルフです。皆さん初めまして、ではないですね」

「みんな覚えてるか?」


翌日。初めての授業。......のはずなんだけどまた人が増えてる。

私?私は......うーん思い出せそうなんだけど......。


「あ、そう!10歳の人ですね!」


思い出した!10歳の誕生日の日に会った人。

私の才能を見てくれたらしい人。

私の10歳の人発言にゴードン先生は笑いだし、レオナード先生は困ったように笑った。


「えぇ、まぁそうですね」


なんか申し訳ないと思ってはいます。

レオナード先生は仕切り直しだと言うように、こほんと咳をした。


「君たちは私が見た中で特に優秀な才能を持った子達です。才能は努力故に伸ばすものですから、皆さん頑張ってくださいね」


先生の一言にクラスの反応はそれぞれだった。驚きを隠さずに口を開く者、恐縮だと言うように身をすくめ周りを伺う者。王子は当たり前だと胸を張っている。

そんな中、関心の薄そうだったサクヤにレオナード先生は話しかける。


「もちろん、君にも期待しているんですよ。サクヤ嬢」


ざわり、そんな効果音が適切だろうか。息を飲む音や驚きの声が一斉に上がる。一部女子は色めき立っているようにも感じる。


「なんで男子制服を着ているんだ!」


誰かの叫びだった。だけどこれは全員の疑問だったと思う。

昨日の自己紹介の時のようではない。好奇と責めるような目線に晒されて彼......彼女は居心地が悪そうだ。

助けてあげようか。彼女と仲良くなりたかった私はそう思った。だけど、私が口を開くより早く彼女は話し始めた。


「僕は平民です。この、王都に住んでいます。だけれどお金がないから、より安い方の制服を買っただけ。それだけです」


僕......と言った。仕方なく男子制服なら口調はどうなのだろう。そう思ったのだが、彼女は覚悟を決めたのかすらすらと話す。


「僕がこういう話し方なのは、女の子とより、男の子と遊ぶ方が多かったからです。おままごとよりはかけっこの方が楽しかったから......」


気持ちがとてもよくわかってしまう。なるほど。女の子は狩りについて行ったりしないのか。お母様が嫌がるはずだ。


「どうにか買えなかったのか?制服は随分と安く値段設定がなされていたはずだが」


ゴードン先生が質問する。学生時代、先生は買えたのだろう。男だけど。


「えっと、来月のご飯がおかずが1品無くなってしまうので......」


それは嫌だね。頷いていると、ゴードン先生も大きく頷いた。


「それは大変だな!お前は親孝行者だ」


周りを見ると貴族の大半は理解できなかったようだった。贅沢に慣れてるせいだなと思った。

これは私の想像だけど、恐らく平民はおかずが1品しかない。そうするとかなり寂しいものになるのは予想出来ている。いい判断だと思った。


「ありがとうございます......?」


サクヤは困惑しているようだった。まさかここまで褒められるとは思っていなかったんだろう。


「それでは私はここで。違うクラスの様子を見に行きますね」


話に区切りを付けるためか。レオナード先生はそう言うと惜しまれながら教室を出ていった。

それを確認すると、ゴードン先生は宣言した。


「では初めての授業を行う!」

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