第3話「少女は女神らしい」
「あなた方おふたりは亡くなりました」
ふたりの反応は全く違っていた。
「......嘘でしょ?あ、分かった!めっちゃ可愛いと思ったらAPP18だった訳ね。なるほど。SAN値チェックしようたって騙されないから!」
と、1人でに納得してうんうんと頷く愛理。私は賢いから騙されないぞと言わんばかりのドヤ顔である。
対して咲夜は悲しそうな顔をした後、少し期待したような声でこう言った。
「死んだのは分かった。ていうか分かってたけど、じゃあ君は?ここは何?」
その一言に慌てたのは愛理だった。
「いやいやいやいやいや!!なんであっさり認めちゃうわけ!??こういうシナリオ見たじゃん!死んでない可能性だってあるじゃん?」
「私は違う可能性の方が高いと思ってるよ」
「じゃあ、なんなのさ!言ってよ!」
興奮気味に叫ぶ愛理に咲夜はこう言った。
「異世界転生」
異世界転生。それは現代日本で死んだ主人公が神様にあって、チートを貰ったりなんやりしたりするファンタジー系のラノベによくある奴。
という認識しかない愛理(しかも全て咲夜の受け売りである)はぽかんと口を開いた。
「愛理が死んだってのも保証出来るよ。私は庇われたから、即死だった愛理よりも覚えてる。」
「そんなの......」
咲夜の告げる現実に悲しそうな声を出す。そして呼吸を整え、息を吸うとこう叫んだ。
「そんなのってないよぉ!あんまりだよぉ!!」
「案外ふざける余裕はあるみたいだね」
ジト目で愛理を見る咲夜に対し、意味を理解していない少女は気遣わしげに愛理を見上げる。そして、咲夜に問いかけた。
「あの、この方は大丈夫なのでしょうか?随分と混乱されているような?」
「うん、大丈夫じゃないね。頭が」
「またすぐそんなこと言うー!」
愛理の抗議を無視して咲夜は少女に話しかける。
「このバカに構ってると埒が明かないから、さっきの質問に答えてもらってもいい?」
「はい、もちろんです」
少女は気を取り直したように話し始める。
「ここは神域。私達神が住む場所です。まず、あなた方おふたりは元々私が管理している世界の魂でした。しかし、同じ世界だけで輪廻を回すと魂が成長しないのです。そのため、あなた方が住んでいた世界に転生していた、のですが......」
「同じ土地で同じ作物を育てると出来が悪いみたいなのかな」
「前世ってあったんだね」
咲夜と愛理はこそこそと話しているつもりだが、少女は愛理の腕の中。筒抜けであった。
「こほん。そちらの世界で寿命を全うした後、魂だけまたこちらに帰って来るはずだったのですが、どういう因果か、あなた方は亡くなってしまいました」
「どういう因果って言ったって......事故だよ」
愛理の呟きを少女は拾って答える。
「普通の事故なら私達の管轄内なんですよ。しかしあなた方は、手違いも不正もなく、原因不明で亡くなってしまわれたのです。これは私達が完全無欠でないにしろ、これまでなかった事態です」
「私たちからしたらただの事故死なのに、神様目線だと超常現象扱いなのか......」
真面目な話になってきた、と愛理は口をつぐみ、咲夜は愕然としたような声を漏らす。
「それで、お詫びと言いますか、補填と言いますか。あなた方はこれから私の世界に転生することになります。その時に亡くなる前、及び今の記憶を受け継いで転生出来るように図らう予定です」
3話目になりましたが、まだ転生していませんね......。
早く出来るよう頑張ります