第2話「落ち着けって言う方が無理じゃん」
──あなた目を覚ますと、そこは見渡す限り真っ白な空間でした。
なんてアナウンスが聞こえてきそうだ、というのが愛理の感想だった。明らかな非日常に混乱してしまうと同時に、あぁ、これは確かにSAN値チェック入るわ。なんて他人事のように考える。
落ち着こう、そう思った時、突然目の前の空間が輝き出した。
「え!?なになになに?ちょっ、待ってよ!私クソ雑魚だから止めて!!!」
軽いパニック状態になり、喚き出す愛理の言葉は届くはずもなく。強くなって行く光に、恐怖と眩しさから思わず目をつぶった。
しばらくして、光が収まった事に気が付き、恐る恐る目を開く。先程1番強く輝いていた空間、そこに居たのは───
「幼女......?」
長い金髪は緩やかなウェーブを描き、柔らかな印象を与える。くりくりと大きな瞳はよく晴れた空のような深みのあるスカイブルーで、まるで宝石のよう。神々しい程までの美しさとあどけなさを持った少女であった。
少女は微笑むと口を開いて、
「初めまして。私は「かぁわいいーー!!!!」はぅっ!?」
愛理は思わず少女に抱きついてしまった。何か言ってたような気もするがこの可愛さの前にはしょうがないよね!抱きついちゃうよね!と、テンションマックスな状態で少女に頬擦りをする。
「あ~、幼女幼女。幼女可愛い。なにこれ神様のプレゼント?私ってばいつの間に善行積んじゃったの?」
夢中で少女を抱きしめ、頭を撫で、頬擦りをしてめちゃくちゃに愛でる。「ちょっと、あの、お話が」と、少女が言っているが、愛理の耳には全く入っていない。
「落ち着きな?」
「無理!だってほら、こんなに可愛いもん!!」
後ろから声をかけられた、それを気にすることもなく、撫で回す。愛理の笑みは幸せそうに蕩けており夢心地だ。
「落ち着けアホーーー!」
「いっだぁ!!?」
頭部に受けた衝撃に驚き、振り返るとそこには咲夜が立っていた。怒り、と言うより呆れの強い表情で彼女は言った。
「いい加減にしてよロリコン」
「はーー?誰しも子どもが好きでしょ??それを言うならみんなロリコンだよ」
「煩いよぺド」
「認めませーん!私は認めませんからー!!」
淡々と責める咲夜に対し、高らかに反論する愛理。平行線の言い合いは終わる所を知らず、
「あのー......、よろしいですか?」
「「あ」」
愛理に抱きしめられている少女の一声によって終了した。
少女は乱れてしまった髪を手櫛でささっと整え、咳払いを1つすると話し出した。
「まずですね、若宮愛理さんと高村咲夜さん。あなた方おふたりは亡くなりました」
お久しぶりです。構想はあるのできちんと続けて行けるよう頑張ります。よろしくお願いします。