第1話「予測出来ないから事故だよね」
陽気な昼下がり、若宮愛理と高村咲夜の2人は話しながら歩いていた。
「それにしても愛理がRPGに興味を持つとは」
「えー何ー?ダメだった?」
呟くように言った咲夜の言葉に愛理が笑って反応する。
「意外だっただけだって。だって愛理が好きなのってソシャゲじゃん」
「まぁ、そりゃそうだけど。てか!散々このゲームの話してきたのそっちだから!!」
愛理は手に持ったレジ袋を軽く持ち上げた。咲夜も持っているその袋には昨日発売されたばかりのRPGゲームが入っている。
「だって発売が楽しみだったから」
少し拗ねたような口調で返す咲夜。しかしそれもゲームへの期待からかすぐに楽しげに変わる。
「だって、テイム出来るんだよ?モンスターであればストーリーの進行上倒さなければならないはずの中ボスとかでも!このゲーム、モンスターのデザインが素敵でさ、やっぱり可愛いかっこいいやつは自分のもんにしたいじゃん。敵キャラって特に素敵デザインしてるじゃん」
「そ、そっか......」
咲夜の勢いに押され気味になって相槌しか返せなくなる。急に始まった語りに流石についていけない様だ。
「愛理はつられて買ったようなもんだけどよかったの?」
「うーん、そうだなー。私は可愛い幼女か格好いいおじさんがいたらいいかな」
「なにその両極端な選択肢」
2人して笑い出せば、休日のそこそこ人通りのある道に笑い声が響く。他の通行人は気にした様子もなく歩いていく。
「まぁ、とりあえずやろうぜ。私の家でいいんだよね?」
「もちろん」
楽しみだ、と気持ちがはやっている(つられて足も早まっている)咲夜に愛理は笑って応える。
と、次の瞬間、その目は大きく開かれた。
「危ないっ!!」
「へ?」
愛理に振り向いて話す咲夜の後方、彼女に向かって来るのは1台のトラック。どうしてか勢いよく向かってくるそれから守ろうと愛理は思わず咲夜の前に飛び出した。
「っ馬鹿!」
やっと事態を把握した咲夜の叫び声を聞きながら愛理は身体に受けた衝撃に(死んだな)と思いながら目を閉じた。
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