プロローグ
図書館からの帰り道、僕は明後日で夏休みが終わってしまうという現実を思い出し足取りが重くなった。
課題もある程度は終わらせたが、明日もまた図書館で一日中課題づくしだろう。
夏休みの楽しかった記憶を頭に浮かべながら街灯のついた夜道を歩く。
あー、また彗達とプールへ行って、異常に暑いコンクリートを走りながら冷たい水の中に飛び込みたい。そして、長い椅子のようなものに座るお兄さんに甲高い笛を鳴らされながら泳ぎまわりたい。
―ドンッドドンッドンッ
あっ、あと映画にも行きたかったな。映画はいつ見てもいい。新鮮だ。しかも最近は3Dで見れたりするから、もうアトラクションなんじゃないかと思っている。今いいやつやってるかなー。
―ピューピューピューリルリ
…さっきからなんだろうか。笛?と太鼓の音だろうか。
もう夏休みとやらは終わったはずなのに、どうしてか僕のすぐ横にある路地裏の奥の方から笛や太鼓の音が聞こえる。まだ祭りが残っていたのだろうか。
少し気になったが、もう夜が遅いので大人しく帰ることにした。
「ただいま」
「おかえりー、どう?課題は終わった?」
「いや、だめだった」
「はぁ?だからいつも早めに終わらせなさいって言ってるでしょ」
「ごめんごめん、でももうすぐに終わるから」
「もー、あんたはいつも…」
僕のせいで母の機嫌が悪くなってしまった。
こうなるともう止まらないので、僕は母の言葉を適度にかわしながら自分の部屋へ避難する。明日早く終わらせて帰ってこないと、母の顔が爆発してしまうな。
それは勘弁なので、さっそく僕は勉強机に向かいノートやプリントを広げた。
1時間ほど経ち、残りのプリントが2枚になったところで睡魔が僕を襲ってきた。まぁ、これなら明日の午前中で課題を終わらせられるだろう。
僕はお風呂に入り、今日の疲れを癒したあと、テレビに夢中になっている母に「おやすみ」と声をかけて残り少ない夏休みの夜を味わった。
読んでくださりありがとうございます!