表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/15

輪郭線について 主観解説

毎度雑な解説絵ですが……。


今回は多分中学や高校で言ったら完全に他の美術教師に怒られる内容です。

そんなもの美大生位でないと理解できないと。もっと簡単なことで言われたことがあります。

ただ、頭からそんなことを言うから芸術は分からないと言われるのでは? という疑問もあるので書いてみました。

 さて、今回は輪郭線について考えていきたいと思います。

 今回書く内容についてはほぼ主観なので、どのように受け取るかは完全にお任せしたいと思います。


 さて、まず基本的なことですが、人間は殆どの場合、子供の時に『お父さん』とかを描く場合、肌色のクレヨンを持って丸を描くと思います。人間が産まれて初めて絵を描こうとする場合には輪郭線を描くのです。

 もちろん例外はいます。ですが、絵を描くと認識している子どもの殆どはそうでしょう。

 それは現存する最古の絵であるラスコー洞窟の壁画でも同じです。牛やらを輪郭線をメインで描いているのです。


 と、言うことは、人間にとって輪郭という概念そのものがとても原始的で重要な要素になっている、ということになります。対称と空間に境目がある、と考えている人はまず居ないと思いますが、その二つが触れ合う部分には何かしらの力を感じているのです。少しオカルトっぽい言い方になってしまいましたが、それが輪郭線、ということになるのです。そして、その対称と空間が触れ合っている部分を読み取ることによって、正しい輪郭を描くことができるようになります。

 どういうことかと言えば、完全に平面視点のまま輪郭を追っていくと、球を描こうにも円になります。

 球は手前の中心から奥へと回り込んでいく形になるので、奥に回り込んでいく輪郭線を描かなければいけないのです。陰影をつければ解決すると思われがちなこの問題ですが、実は輪郭の描き方の時点で既に問題は始まっているのです。例えばですが、球の輪郭の中でほんの少しの強弱を付ければどうでしょうか。

 左上から光が当たっているとすれば、輪郭の左上は線が弱く、左下と真下は強い。反射光の当たる右下は少し弱く、右上は少し強い。

 全てを同じ輪郭線で表現するのではなく、ほんの少しの差異を付けることによって、影を付けずとも立体に近づいていくのです。


 当然ながらそれは100%ではなく、方法の一部ということになります。

 それでも、例えば手前と奥の物を描く場合、手前の輪郭線を太く描いて、奥を細く描けば、同じ大きさで描いたとしても距離を感じることになります。もちろんパースやらも影響はしてきますけれど、単純にそのように描くこともできるということになります。


 もっと言えば油絵だと絵の具の厚みの違いだけで奥行を表現したりもするのですが。


 さて、美術の時間にはちょくちょく、現実には輪郭線はない。という言葉を聞くことがあると思います。当然ながらそれは事実ですが、少しばかりの誤解があるような気がしています。

 そもそも、そんなことを言われるようになったのは、日本に油絵が入ってきた19世紀に遡ります。モネと印象派の絵は基本的に輪郭線を描きません。それはシンプルに自然をそのまま画面に表現するためなのですが、その為にわざわざ絵の中に現実を持ち込む必要性は無いと、私は考えているのです。

 と、いうのも、モネと印象派と言いましたが、私は厳密にはモネは印象派ではないと考えているのです。実物を見たことがある方は分かるかもしれませんが、「モネはただ見たものを描いているだけ」なのに対して、印象派の画家たちは「見たものをそのような手法によって描いている」のです。 

 そして、そんな印象派が流行った時に日本には油絵が入ってきました。日本の絵画には基本として輪郭線があります。そして、それをとても大事にしています。そんな時に入ってきた「印象派」の考え方が今だに根付いているのですが、先に言ったように、現実には輪郭線は無い。でも、人間は最初に輪郭線を見出した。と、言うことは人間の中の現実には輪郭線が見えていてもおかしくはないわけです。何せ、有り得ないのに何の疑問も無く子供たちはそれを描いてしまうのですから。

 なので、現実には輪郭線は無いという言葉を盲目的に信じてしまうことは危険です。

 輪郭線を描く必要があるのか排除する必要があるのかは、よくよく考えた上で選択したほうがいいかと思われます。

 

 ちなみに私の場合は曖昧な言い方になってしまいますが、輪郭線を描くところもあれば、描かないところもあります。引き締める必要があるところには輪郭線を使いますし、膨張させたいところには描かない、と言った曖昧なものですが、少なくとも写実だから輪郭線を使わない、という考えではありません。

 まあ、私の場合は17世紀の絵を中心に研究していたので、その頃の絵だと写実でも普通に輪郭線を扱っています。なので自分の絵の為に何がベストかを考えていった結果そうなったのですが。


 

 さて、それでは二次元の絵の輪郭線についてを語りたいと思います。

 これを読んでくださる方も大体は絵画はにはあまり興味がなくて、こちらの方が興味があるという方が多いのではないでしょうか。

 そんなところで私も一枚描いてみたのですが、やはりというべきか、二次元の絵には輪郭線はほぼ必須です。知人で輪郭線を描かないという人の絵を見た時からお面の様になっている事が気になり、描かないといけないと思っていたのですが、自分で描いてみて確信しました。

 そもそもこういった絵で扱う肌色は膨張色なので、輪郭線で締めないと輪郭の端が起き上がってきてしまうことがあります。それを防ぐには輪郭線を描くことが有効です。

 まず、色は基本的にはですが、最初は黒が良いです。黒は奥に沈んでいく色なので、膨らむ肌色を奥に押さえ込むことができます。もちろん色々理解していけば輪郭線の色なんかも変えていけるのですが、何も分からないうちは無彩色の黒か濃い灰色がいいかと思います。


 どういう事かといえば、顔を頭の方から輪切りにしたと仮定した時に、輪郭線がなければこのように見えてしまうことがあるのです。

 もちろん極端ではありますが。

挿絵(By みてみん)

 こんな風に捲れたように見えてしまう結果、本来は円筒近くなければならない部分が紙のお面のように見えてしまうことが多々あります。

 そんな場合輪郭線を使ったほうが楽に形に説得力を持たせることができるのです。

挿絵(By みてみん)


 現実には有り得ない形をある程度の立体っぽく見せる為に、逆に輪郭線を強調する、という発想になるわけです。もちろん面の色にも大きく影響は受けますが、顔面がお面になる確率は輪郭線無しよりも有りの方が低いでしょう。



 

 では、今回はこの辺りで。

 もしかしたら今回は美大生なんかと話し合う内容だったかもしれません。

 ただ、とりあえず描くのとなんとなく分かるかもしれないで描くのとでは大きく違うと思い、書く事に致しました。

 

次回は多分来週月曜です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ