表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/15

色の捉え方について

 今回は再び色について説明していきます。

 前回は主に絵の具のことについて解説しましたが、今回はもう少し違った観点から。


 まず、人間の目は光を受け取って物を見ています。

 その受け取り方は2パターン。発光している物体から外気やレンズを通して信号を受けとるか、そこから更に反射したものを受け取っているか、となります。

 そう考えた場合、TV等のモニター、太陽などは前者、月を含んだその他は後者となります。

 前者の場合適用されるのは光の三原色、後者は色の三原色となります。

 前者であれば異なる色の光が混ざる程白く、後者は異なる色が混ざるほど黒くなります。

 その為、デジタルで絵を描く場合とアナログで絵を描く場合とで大きく異なります。


 デジタルであれば画面の基本は黒、明度を落とせば暗くなります。全ては三色の光り加減によって色が変化します。


 逆にアナログは全てが光の反射と吸収によって変わります。

 簡単に言えば黒い物質は殆どの光を吸収している、白い物質は殆ど光を反射している。赤いものは赤を反射、それ以外を吸収している。そんな具合に。

 なので、絵の具の場合はパッと見で近い色であっても、その顔料の大きさや反射の仕方メディウムの屈折率の違いで、混色時に思った色とは違う色になることも多いです。なので、例えば補色同士を混ぜ合わせた場合、黒に近づくと言うよりは濁った灰色に近づきます。もちろんそれを利用することもできます。

 例えば私の場合は灰色を作るときに茶色と青を混色したものをベースにいくらかの色を混ぜて作ることが多いですが、それを別の人がやっても汚くなるだけ。そんなほんの微妙な差が強く出ることになります。


 それは同じ物質を描いたとき、明部と細部を描き分ける場合に特に顕著になります。

 基本的にはデジタルアナログどちらで描く場合もモチーフは色の三原色、反射と吸収で造られたモチーフを描くことになります。

 その場合、単純に光が当たっているから明るく、光が当たっていないから暗く、と言うわけにはいきません。


 頭でっかちな言い方をすると、基本的には太陽光が直接当たっている部分が本来の色として捉えます。


 そう考えると、影は何故影になるのか、ですが、太陽光が直接当たっていないから影になっている、というだけには行きません。発光体以外は全て、反射と吸収によって色を構成しているのです。

 と言うことは、例えば葉っぱは常に緑の光線を反射しています。その付近は言ってみれば直接当たる太陽光線以外にも緑色の光が残っている、ということにもなります。

 光が一切当たらなければ完全な闇となるので、影の部分はそういうわけではありません。

 緑で構成された空間があれば、影の部分に当たってい光は全て、周囲から反射した緑の反射光ということになります。

 

 さて、そのように考えていくと、影の部分が単に暗いだけでは済まないということが分かるでしょうか。

 第一に重要なことは観察です。影の部分はどんな周囲の反射光を更に反射してその様な色に見えるのか、よく観察する必要が出てきます。


 それと同時に、影や暗いものは光の反射量が少ない。

 つまり、目が受け取れる情報が少ないということになります。


 油絵の具やアクリル絵の具で描く場合、暗い部分は薄く、明るい部分は厚く、暗い部分は平面的に、明るい部分は立体的にと言った理由はこれです。

 明るい部分は目が受け取っている情報量が多い、逆に暗い部分は目が受け取っている情報量が少ない。

 そんなことを理解していくと、少しばかり色に対する考え方も変わっていくと思います。


 人肌の影の部分に緑や青、赤と言った色を追加することも多くあります。

 一度周囲の色をしっかりと見直してみると、面白い発見があるかもしれません。


 例えばジョルジュ・スーラに代表される『新印象派』と呼ばれる一派は点描、複数の色を点で並べることによって、モニターの様に、離れた時に色が混ざる効果を期待した絵を描いています。

 ルノワールが特に顕著ですが、『印象派』は黒を使うことを拒否したりしました。

 逆に多くの古典絵画、15-17世紀の油絵は、白は一色のみ、黒は二色以上と言った使い分けをします。


 色に関しては人によって本当に見え方が様々だと思うので、それぞれ自分の色を持てると良いかと思われます。




 

 さて、最後に油絵のワンポイントですが、黒を混色に使う場合、暖色へ混色する場合は同じく暖色のアイボリーブラック、寒色へ混色する場合は同じく寒色のピーチブラックを混色するということが基本となります。そして真っ黒はランプブラック。

 そんな使い分けをしてみると、汚くなりがちな暗部を美しく描きやすくなります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ