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鮮血は少女を優雅に誘う  作者: 一博,ラン
4/4

晩餐会

途中


=01=


 集まる人々は会話少なく別れの儀式をする。さよならの儀式、黒に身を包む――喪服。死を祝う晩餐会。酒が用意されている。酔いの導き道具。やはり祝いの晩餐会で間違い無い。


 参列者の祝い方は自由。

 泣き崩れる者、心に傷を負う者、無表情の者、関心が無い者、平然な者――者者。各自、自由。ルールは沈黙を守り晩餐会を台無しにしない事。実に単純で解りやすく優しい。


 二人の魂無き女性が神の御許に近づく為に祈りを受ける。姿、生前より美しい。言葉は述べる事は無く願いも呪いも心配も無い。不安も無く邪魔されず敵も居ない。


 愛を与え愛を受ける。愛を認め愛を信じる母娘は同じ時に死を迎えた。離れ離れに成らず怨み合う事も無く安らかに棺桶に眠る。永遠に。


 問題は残る。残された富の奪い合い悲しみは二の次、愚かさを争う。


 晩餐会は劇場。殺された母娘は名前も死に方も公開され人々を楽しませる。衝撃の強い死はエンターテーメント。脚本家も演出家も必要が無い本物の娯楽。話題は話題を呼び、残虐性は薄れ夫人や殿方の話題となり噂話が退屈を埋める。

 其れを鎮めるかの様に聖職者は祈りの言葉を止める事は無い。

 

 人の死を娯楽とする。罰を受ける事が無いので存分に楽しむ事が出来る。映画でも観る様に。


 晩餐会の出席者、新聞の記事に目を通す者、狂っている。蓋をしているだけで義人など一人も居ない存在しない許さない。貴方も貴女も。我々は我々を責めて要る訳では無い。正直な事を明かしているだけだ。恥を想う必要は無い。


 残された富の権利を主張する。

 見ず知らずの人の死で食事に華を咲かす。

 白百合京子、白百合曜の名前は人々を楽しませた。


=02+∞=


 骨すら灰になる火が笑う。笑いながら白百合親子の形を壊す。いつくしみ深き笑いは肉を燃やす――命の淵の最後。笑いの火の中で人間が消える。


 火柱が天まで上がる。煌々と火の粉が舞い死の匂いが肉の焼ける匂いが骨が破裂する音が。


 恵まれない大人が笑う。

 恵まれた子供が泣く。


 問おう。問うだけで答えは要らない。

 簡単、命の問題の出題。


 二人の人間が消えた。特別な出来事では無い。貴方と貴女にも、やがてやってくる最後。誰しもが分け隔たりなく平等に所有する最機。一人逃げは出来ない。抜け駆けの道は無い。


 殺された母娘は不幸だったのか。

 名もなき少女は罪人なのか。


 刷り込まれた世間の都合を取り払い式を考えよ。

 尚、全ての答えを正解とする。

 

 私は全てを許します。

 

 怒り多き者は幸いです。

 渇く者は幸いです。

 清い者も幸いです。

 平和を愛するも者も幸いです

 

 食べれる事は幸いです。

 快楽に溺れる者は幸いです。

 命尽きる者は幸いです。

 未来無き者は幸いです


 疑い多き者は幸いです。

 裏切りを好む者は幸いです。

 醜悪な者は幸いです。

 

 濁った眼も幸いです。

 狂気を知る者も幸いです。


 希望無き者も幸いです。


 私は全てを許します。貴方と貴女は何処までを許しとし

 何処までを崩壊の罰とし脚で踏みつぶすのでしょうか。唾を吐くのでしょうか。


 罵りは自由です。それすら幸いです。

 

 祝福は死と平等、救いは確約されているのです。


=03=


 腐敗臭、臓物と血の香りで満たされた部屋で少女は笑う。正しい生き方を見つけたからだ。暗く鬱屈した人生とお別れをしたのだ。何より空腹に悩む事が消えたのは嬉しかった。食べては吐くの毎日が遠く懐かしくエウロパも喜んでいるのか輝きが神々しい。

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