表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

電波君

 



 間違いなく『W.C.の悲劇』の後遺症だった。仕事中に昨日の悪夢のような出来事がフラッシュバックし、幾度も叫び出しそうになった。

 必死の思いで噛み殺していたが、ついに抑えきれず「ひぃ~」と奇声が口から漏れ出てしまい、そばにいたお客様をビクッと驚かせてしまった。


「ひぃ~た~の在庫は、まだあったかな?」なんて、訳の分からない独り言を呟きながら、私は欽ちゃん走りでその場から逃げ出した。


 いけない、いけない。落ち着け、お・ち・つ・け~ぐあ゛~


 そそり立つ巨大な壁となって襲いかかる大波のような羞恥心にのみ込まれ、私の体は硬直してしまった。


「おっ、おい! どうした相良?」直ぐ後ろを歩いていた同僚の菊池と、ぶつかりそうになってしまった。


「いや、その……今、誰かに呼ばれたような気がして……」


「誰かって、誰よ?  電波か?」


 もう手の施しようも無いほど、キョドっていた。ダメだ……コーヒーでも飲んで気持ちを切り替えよう。私は少しも進まない仕事を放り出して、休憩室に向かった。


 休憩室のドアを開けて入る時に「いらっしゃいませ……」と、つい呟いてしまった。


 シマッタ! 私は素早く休憩室内を見回したが、運良く誰にも聞かれていなかったようで、私に注意を払う者は誰もいなかった。


 よかった……ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、ポンと後ろから肩を叩かれた。


「気にするな、疲れているんだよ」またしても、菊池だった。よりによって、今一番関わりたくない相手に聞かれてしまった。


「ところで電波君。その後、仲間からの通信はあったか?」


 殺す! いつか殺す! 絶対殺す!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ