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死神リョータ

「死ぬとき人は、何を見るんだろう?」

こんなことを考えたことはありませんか?

死の世界から生還した人はいないので、実際そのとき何が起こるのかは誰にもわかりません。

ただ悔いが残らないように天命をまっとうするだけです。

何もないつまらない人生ー

本当にそうでしょうか?

生きていて何もないなんてことはないと筆者は考えます。

このストーリーが、今虚しさを抱えている方への一助になればと思います。

「坂下美紅、29歳。現在無職だが一人暮し。友だち無し。恋人無し。趣味はインターネット。いわゆる腐女子。3年前にうつ病を発症。現在通院治療中。間違えないよね?」


「!?」

美紅はびっくりして後ろを振り返った。


真っ暗な部屋の中、パソコンの画面だけが光を放っている。

自分以外に誰もいないはずの部屋に、パソコンの光に照らされてひとりの若い男性が微笑みながら立っていた。


「何?誰?強盗さん!?それともレイプ魔とか!?」


「これは失礼。驚かせてしまいましたね。僕はリョータ。死神です」


「死神?死神って…いないでしょ、普通に…。仮にいたとしても、鎌持ってる妖怪みたいな…」


死神と名乗るその男は、サラサラのプラチナブロンドの髪に、キレイな顔立ち、背も高く、ある意味浮世離れした外見をしていた。身体には黒のマントを纏っている。


「それは人間が作り上げた幻想でしょう。僕たちは普通の人からは見えませんから」


「普通の人からは見えない…でも、私には見える…」


「そう。美紅さんには見える。何故なら、僕は美紅さんを迎えに来たから」


「死神さんが迎えに…つまり、私は…」


「はい。貴女は死ぬんです。あと2時間後に」


「えっ?なんで?」


「自殺するんです。絶望の中で」


「自殺…絶望…」

確かについさっきまで死ぬ方法を調べていた。

生きることに絶望していた。


「そう…それで、私はどこに行くの?」


「人間世界で言うところの、神様のところへ。そこから先のことは、僕にもわかりませんけど」


「そう…ならいいわ。連れて行って」

どうせ死のうと思っていた。躊躇う理由もない。


「いえ、貴女が死ぬのは2時間後です。残りの2時間は、僕と旅をしてもらいます。それも僕の仕事ですから」


「旅?2時間で旅って…お金もないし…」


「美紅さん、走馬灯って知りませんか?」


「走馬灯…?」


「そう。人は死ぬ前に自分の人生を振り返る旅をするんです。やり直したり、過去を変えたりすることはできませんが、貴女が歩んできた道のりを、僕と見に行きましょう。時の走馬灯です」


「…私には、思い出せるような思い出もないし、意味ないと思うけど…」


「ご心配は無用です。貴女が忘れてしまった記憶も、僕には見えますから。僕がご案内します」


「そう…よくわかりませんけど、よろしくお願いします」


「それでは行きましょう」

リョータは私の手を握り、片手で指をパチンと鳴らした。


過去への旅が、今始まるー

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