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第12話

お正月と言えば初詣イベント!

なのだけれど、お正月は田舎に帰っていたのでどうしようもなかった。

さすがに一人でこっちに残るとかできないよ。



田舎に帰ると、二つ年上の従姉がいたので、千照高校の素晴らしさを熱く語っておいた。

あとイケメンの多さ。

ものすごくうらやましがられて、優越感に浸れた。

同じ学校ですらない人にとっては私も十分勝ち組だね!

最近、自分の運のなさに落ち込んでいたけど、ちょっと持ち直した。

この世界に転生して、同じ学校に同学年で入れたということで運を使い切ったのだとは、考えない。…違うよね?


「っていうか、それだけのイケメンが同学年にいるのに誰とも話せてないとか、ありえない。」


私の話を聞いた従姉にはそう言われてしまった。


「なんでもっと押せ押せで行かないのよ。そういうのは押し切ったもん勝ちだって。」


確かにそれはあるのかもしれない。強引にでも知り合ってしまえば、あとはどうとでもなったのかも。


「でも、今更だし、女子の反感は買いたくないよ。」

「そういうことを気にしてるからダメなのよ。ま、でもそれが結衣か。じゃあ、押してダメなら引いてみろ、ね。ああいう人気者は逆に自分に興味ない女子が気になるもんなのよ! たぶんね。」


確かに物語でもそういうのは多い。

でも、そういうのって、相手の視界に入る距離にいてこそ、だよね。

F組、遠い。


「がんばんなさいよ! で、ぜひ私に紹介してね。」


それが目的か!

真剣に相談に乗ってくれてちょっと感動していたのに、いろいろ台無しだった。

それでも、激励を受けて気合を入れなおしたお正月になった。




「亜紀ー、真理ー、あけおめー。」

「「あけおめー。」」


新学期初日、既に登校していた二人に近づいて挨拶する。


「あのね、スキー合宿の話をしてたんだ。結衣ちゃんはスキーしたことある?」

「全くないよー。」


この学校は一年の時にスキー合宿がある。さすが乙女ゲームの世界。

前世を合わせても、初スキーだ。とても楽しみである。


「私たちもないのよ。だから、初心者用のコース、申し込むでしょ?」


経験があって滑れる人や、友達に教えてもらうという人は勝手に滑って、初心者は集まって滑り方を教えてもらうのだ。

ゲームイベントとしては、自由に動きたい。

初心者用コースには誰もいないのだ。

イケメンは何でもできるのか! かっこいいから許す!


「そう、だね。」


見栄を張って、何もできずに棒立ちとか悲しすぎる。もしかしたら初めてにして、最後のスキーになるかもしれないのだし、ここは素直に楽しもう。

気合入れなおしたばっかりだけど、これは仕方がないよね!

宿舎では頑張るよ!

さすがに男女で部屋は離れるけど、食事のときとか、もしかしたら近いところに座ったりできるかもしれないし。チャンスはいくらでもあるよ!




なんて、思ってた時もあったね…。

クラスの壁が、厚すぎた…。


まあ、交通手段がバスで、それがクラスごとなのは仕方がない。遠目にちらっと乗り込む姿が見えただけで満足。

ただ、A組から出発して、到着したクラスから部屋に向かったのは想定外。全員そろってから移動じゃないんだ…。

確かに一学年全員が集まったら邪魔だけどさ。

おかげでF組がついたときにはもう前半のクラスは全員部屋に入っていた。

さらに、ゲレンデに出るのもクラスごとだった。

そうだね、着替えたり、スキー板履いたり全員一斉には見れないよね。

まあつまり、F組が出たころには初心者コースの人以外みんな散らばっていて、さらにゴーグルやらで顔はわからないしで散々だった。

出だしに見失ったらもう見つけられないよ…。

夕食の時に期待するしかない。


それよりも、だ。


スキー、難しい!


なんであんなにすいすい動けるんだろう。

と、言うか高校生って、スキー経験者こんなにいるものなんだ…。楽しそうに滑ってるよ。


「わわわ、こける! こける!」


腰が引けているのが自分でもわかる。


「しっかり立ってれば大丈夫よ。」

「だ、大丈夫?」


なんで二人はそんなに安定していられるのだろう。

もしかして、私って運動神経悪いのだろうか。それともバランス感覚?


「難しいよー。」


ふらふらしながらも頑張ってついていく。

せめてもの救いは同じような人が複数いる事だ。


それでも、最終的には何とかゆっくり滑れる程度にはなれた。

さすが、いろんな人を教えているプロだね。私でも出来たよ!

明日はもうちょっといい感じに滑りたいものだ。


そんなことを思いながら、3人で宿舎に帰ろうとした時、少し離れたところで歓声が上がった。

これは、攻略対象たちの誰かがいるに違いない!


そう思って、声のした方向を見ると、上のほうからまさしくイケメンが滑っているという感じの滑り方をして降りてくる人がいた。

いや、どんな滑り方だよって思うだろうけど、なんとなく、雰囲気がね。


女子が集まっているあたりまで下りてくると、きれいに止まって、ゴーグルをあげ、手を振った。

途端にひときわ大きい歓声が上がる。


土居君だったのか。やっぱりゴーグルつけてると分からないね。


「あれ、ずいぶんとおとなしく見てるね?」


いつもはもっと興奮してるもんね。

なんというか、うん。かっこいい。かっこいいんだけどね。

一日苦労して、このレベルしか滑れないからだろうか。若干イラッとしてしまった。


…かっこいいから許すけどね!


モブがメインキャラに嫉妬するなんておこがましかったね。うんうん。

人には得手不得手があるし、土居君ならできそうだしね。むしろ想像通りというか。


そんなことを思っている間に、土居君はまた滑りに行ってしまった。

あれにはついていけないなぁ。


「いや、あれだけ滑れたら楽しいだろうなーとちょっと嫉妬しちゃったよ。」

「確かに。顔がよくて、成績もよくて、運動神経もいいとか、世の中理不尽よねー。」

「うんうん、明日はもっとスムーズに滑れたらいいね。」


そんな感じで、一日目は過ぎてしまった。

夕食? 前半クラスと後半クラスで時間バラバラだったよ…。

半分がお風呂入ってる間に半分がご飯って感じにね。

すれ違うこともなかったよ。



二日目、朝食はバイキング形式で、入口にいる担任に来たことを報告して、あとは好きに食べて、ゲレンデにいける。

皆早く滑りたいのだろう。

朝食の始まる時間にはすでに入口に人が集まっていた。


「うわー。ちょっと待つ?」


あの中に森崎君たちがいるかもしれないと思うと、ぜひ行きたいけど、あの男子の勢いの中、料理を取りに行くのは大変そうだ。

料理を選んでいるときに急接近とか…ないよね。


「みんなすぐに食べ終えるだろうし、ちょっとだけ待とうか。」


同じことを考えた人が結構いたようで、何人かは部屋に戻っていった。

逆に、遅い時間にいるかもしれないもんね。その可能性を信じよう!


結果、相川先生がいました!

これまでを思えば奇跡じゃないかな!


「相川先生、おはようございます。」

「おはようございます。ずいぶんゆっくりですね。」

「さっきまで混んでたので。」

「なるほど。しっかりと食べて楽しんでくださいね。」

「「「はーい。」」」


ちょっと会話しただけだけど、大満足だ。

ゲームのイベントとは関係ないけどね。高望みはしないよ。




まあ、そこで運を使い切ったのは言うまでもないよね。

そのあとは時間まで転んだり、三人でゆっくり滑ったりしながら過ごした。

ゲームには全く関われなかったけど、まあ、イベント自体もスチルがあるだけの会話イベントだしね!

初スキーを楽しんだ、それで十分じゃないかな!


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