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ベンヴォーリオの心配

ベンヴォーリオ視点です。

 

 教会でソフィアが忘れられてるのと同じ頃、モンタギューの溜まり場では、ベンヴォーリオが二人の親友を探していた。



「ねえ、誰かロミオとマキューシオを知らないか?」


「あ、ベンの兄貴!ロミさんとマーシオの兄貴ですか?マーシオの兄貴は知りませんが、確か、ロミさんは教会が何とかと言ってました」


「そう言えば、朝からマーシオの兄貴は見てないです」


「そうか。じゃあ、ありがとなっ!」


「「はい!!」」



 ベンヴォーリオは焦っていた。何故なら、ベンヴォーリオが昔した、ある予言の日だからだ。そう、マキューシオに死の予言をしたのは、ベンヴォーリオなのだ。


 その頃のベンヴォーリオは、僅か8歳ながら、占いに凝っていた。その上、その占いが良く当たると一部では評判になるほどだった。そして、ある日、二人の親友の運命を占ってみた。だが、結果は誰もが知る通り、残酷なものだった。


 占いの結果を知った、ベンヴォーリオは愕然とした。だが、同時に考えた。死ぬ日を知っているのだから、その日さえ、越えることが出来たなら大丈夫なのではないかと。



 あれから、10年。ベンヴォーリオは、この日が訪れることをずっと、恐れていた。もし、自分の占いが外れて、二人とも死ななかったとしても、今までの3人には戻れないかもしれないと言う、未知の恐怖に。



 ****


 いったい、マキューシオは何処にいるんだ?アイツも、今日が何の日かくらい知っているはずだ。笑ってまったく信じなかったロミオと違って、その可能性もありうることを解っていたはずだ。では、何故?



 そうこうするうちに、ロミオがいるとされる教会に着いていた。ヴェローナ一の歴史を持つ教会なだけあって、優美さと厳かさを掛け持っていて、とても美しい教会だ。だが、得体のしれない叫びが、微かに聞こえてくるのが不気味なためか、いつもは、参拝客が多いこの教会に、近寄る者はいない。



 確か、ロミオは此処にいるはずだ。だけど、中から聞こえて来る、この不気味な叫びは何なんだ?まさか、黒ミサでもしているのか??いや、アイツはありえない。マキューシオならともかく、ロミオは、良くも悪くも純粋だ。目の前にあることしか知らない、黒を知らないやつだ。でも何故、教会なんかに…



 ベンヴォーリオは疑問に思いながら、重い扉をそっと開けた。



「どう言う事だー!!何故、おもちゃの短剣になってるんだよーっ」


「はあ?」



 そう、扉を開けると、そこでは、ティボルトが悲痛な叫びをあげていたのだった。

 唖然とするベンヴォーリオの存在に、気づいたロミオが話しかけてきた。



「あ、ベン!用事はどうしたんだ?」


「用事?」



 嫌な予感がした。ベンヴォーリオは、辺りを見渡した。すると、意味ありげに笑うマキューシオが立っていた。



「マキューシオ、お前は何をする気だ!?」



 ベンヴォーリオは、瞬時に悟ったのだ。マキューシオが、何かをする気だと言う事を…



「アハハハハッ」


 ティボルトの叫びでいっぱいだった先ほどとは一変、重たい空気が流れ込んできた。そして、マキューシオは、ただ笑うだけであった…




これで、年内の投稿は終了です。では、良いお年を…

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