教会の響き
ある教会から、叫び声が響いていた。その声の主は…
「ハアハア…だから、言ってるだろ!!俺を、無視するなー!!」
「…分かったよ。で、ティルくん、どうしたの?」
「その呼び方やめろーっ(悲痛な叫び)」
「え~」
「『え~』じゃねえ!何でこうなったんだー!!」
ティボルトの乱入から、かれこれ30分もたっていた。だが、ずっと無視をされ続けており、先ほど、やっと話を聞いてくれたところである。これから、一部始終をご覧にいれよう。
「だ・か・ら…「ロミオ、いつから新婚旅行なんだ?」
「おい、聞けって…「そうだね~来週にしようかなージュリちゃんは、いつが良い?」
「お願いだ…「ロミオ様と一緒なら、いつでもいいですわ」
「無視す…「この~バカップルめ~神父様も何か言ってくださいよ!!」
「俺…「…リア充…爆発…」
「反応し…「でさあ~…」
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・・・もしもしー皆さーん、覚えてますかーソフィアですよー!!…どうやら私は、すっかり、忘れらてしまったようなの。みんな、ヒドイ…
「何で、ティルくんは僕たちの事を認めてくれないの?」
「コラッ、ロミオ、失礼じゃないか!ティボルトは、恋人がいないんだよ。察してやれ」
「そうだったのか…ホントにゴメン!!」
「いやいや、バカーシオの捏造だから!そんな、理由なわけないだろ!!」
「オイッ『バカーシオ』って何だよ!!昨晩、ソフィアとの逢引きを邪魔したくせに!」
「だま…「えっ!?うちのソフィアと恋人でしたの??」
「実は…」
「まあ!!じゃあ、今度は二人の番ですわね。マーシオ様、このブーケをソフィアに渡してくださいな」
お嬢様…あなたの侍女のソフィアは隣にいますよ。そして、一番ヒドイのはマキューシオよ!!絶対に私がいることに気づいてる!!それにしても、勝手に私を恋人にするなんて!!
「お前らーっ人の話を聞けーっ!!…もういい、こうなったら、決闘だっ」
えっ!!『決闘』と言ったよね!?まさか、物語とは全然違う形で来るとは…って、それにしても、おかしすぎるでしょ!!どうしたらティボルトが、あんなキャラに…それにしても、『歪み』は幅広いのかしら?
一同が唖然とする中、その空気を破った者がいた。
「ちょ、ここでの決闘は勘弁して!掃除が大変じゃないか!!」
「神父様、心配するところはそこじゃないですよ!」
「ん?君はだれ?」
「…ジュリエット様の侍女、ソフィアですっ!ずっといましたよ!!」
「「「「えっ!」」」」
「『えっ!』じゃないですよ。特に、マキューシオ様なんか知ってましたよね」
「もちろん。愛しの恋人に気づかないわけないだろ」
「おのれ~マキューシオッ!!」
突然、ティボルトは短剣を手に持つと、マキューシオに突進してきたのだった。だが…
「覚悟ーっ!って、これ、俺の短剣じゃない。しかも、使い物にならないじゃないか!!」
そう、ティボルトが手に持っていたのは、木製の薄っぺらい短剣だったのだ。つまり、おもちゃの短剣と言うことだ。
「どう言う事だー!!何故、おもちゃの短剣のなってるんだよーっ」
そして、また、教会に悲痛な叫びが良く響くのだった…