仮面舞踏会
煌びやかな衣装と仮面を着けた人々が優雅な音楽に合わせて踊っている。そう、ここは、キャピュレット家主催の仮面舞踏会を行なっている場所。しかも、ヴェローナ中の貴族が集まっているのだ。勿論、一部例外もあるのだが…だが、ひとつの場所にに人が集まってダンスなどをしていると、ヴェローナ1、2を争う名家の広い家でも、混み合ってしまう。そして、こちらでも…
「・・・どこに行ったんだろう」
今の状況になるまで、遡ること10分前――
「ソフィア、分かったかしら?」
「勿論です。『絶対に離れるな』ですよね」
「そうよ。絶対の絶対に離れないでね」
「分かってます」
「じゃあ、あっちに行きましょ!!」
「え!?あっちには人だかりが…って、もう行ってるし。お嬢様、待ってくださーい!!」
そして、見失ってしまい今に至るわけだ。
「お嬢様、どこですか~?」
うーん、なかなか見つからないな~でもまあ良いや、それにこれはチャンス!!そう、お嬢様がいない今、物語を変える為にもしなくてはいけない任務を遂行できるチャンスだもの!!たぶん、向こうは運命の出会いでもしてるんだし。それじゃあ、任務開始!!
ー数分後ー
って、どうしよう。みんな仮面を着けてるから、誰が誰だか判らない…特に、マキューシオには会わないといけないのに…とりあえず、会場でも回るとしますか。
『バタッ』
「も、申し訳ございません」
「いや、こちらこそ失礼しました」
この人、紳士だ。わざわざ、仮面まで外して謝るなんて!!これが旦那様だったら、大激怒してるのに…
ん?この顔は…
「マ、マキューシオ!?」
「静かに!!」
「ス、スイマセン」
「それにしても、心外だなあ~まさか『様』も付けてくれないなんて。これでも、大公の甥なんだけどな~」
「申し訳ありませんでした」
「まあ、良いけど。それよりも、ここにいる事を黙っててくれるよね?」
「も、勿論です!!」
何この人。無言の圧力怖すぎるんだけど!!
あ、でも、任務を遂行しなければいけないのに。
よし、頑張って勇気を振り絞りましょう!!
深呼吸、深呼吸。
「…マキューシオ様、ひとつ言いたいことがあります。明日は絶対に、ティボルト様の挑発に乗らないで下さい」
「じゃあ、もし、乗ったとしたら?」
「死にます」
「まさか」
「そのまさかです」
「…気を付けるよ。でも、ひとつだけ聞いていい?」
「私が答えれる範囲なら」
「君は預言者か何かかな?それとも、占い師?」
「いいえ。ただの、ジュリエット様の侍女ですよ。では、いつか生きて会いましょう」
よし、これで重要な任務は一つ、遂行出来たはずよ!!後は、ティボルトにも根回しをしたい所なんだけど、あの人怖いのよね~こないだも、すれ違っただけで睨んできたのよ!!ただ、お嬢様の後ろについて歩いてただけなのに…まあ、要するに話しかけれない空気をプンプン振り撒くので、ムリね。
じゃあ、そろそろ、お嬢様の方を探すことにしますか。
「お嬢様~何処ですか~」
「ここよ!!」
「ここでしたか。離れてしまって、すいませんでした」
「まあ、良いわ。それよりも、あの殿方の素性を聞いてきて!!」
その相手は、やはりロミオのはず。何しろ、ティボルトに絡まれてるしマキューシオとベンヴォ―リオらしき人がいるんだし。一応、念のために勝手に話を聞いてみよう(盗み聞き)!!
って、ロミオ、逃亡してるじゃないの!!ロミオ、カッコ悪いから、ソレやめて!!確認の方はまだ、3人で言い争ってるからそこから確認すれば済むからいいけどね。てか、さっきのアレはロミオではないと願いたんですが!!
「お前のご主人様は大層、怖がりなようだな」
「何をふざけたことを。そもそも、お前と違って、対等な関係なんだよ!!ロミオはなあ、お前なんて相手にするほどでもないから、先に行っただけだよ!!」
「「何だと!!」」
「まあまあ、マキューシオ落ち着いて。ここは、敵地だから一旦退却しよう」
これで、さっきのはロミオ決定・・・ショック。そして、さすが常識人のベンヴォ―リオ!!この人がいなかったら、マキューシオは既に死んでるんじゃないの!?
とりあえず、主に報告しますか。
「お嬢様、分かりましたよ。モンタギューのロミオ、つまりは敵です」
「・・・ウソ」
「嘘ではありません」
やっぱり、あからさまに落ち込んじゃった…どうせ、立ち直るから放置しておこうかな~
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ふうー、やっと終わった~あ、もうこんな時間。今から急いでお嬢様の部屋に盗み聞きをしに行かなきゃ間に合わない!!
明日は運命を大きく分ける日。物語の予定ではなく、私の予定通りに進めばいいのだけれど…
次回は、諸事情により2週間先になるかも知れません。