プロローグ
ここは、イタリアのヴェローナ。この町では、ある二つの名家が対立している。そう、かの有名な物語の舞台である。この町に、ある一人の変わった少女がいた。その少女の名は―――
「ソフィア、私のお気に入りのリボンはどこ?」
「ジュリエットお嬢様!!手に持ってるじゃないですか」
「え!?そ、そうだったわ。」
「もう、お嬢様ったらドジッ娘なんですから~」
「主に対して失礼ね!!」
「すいませんでした~」
そう、名前は、ソフィア。キャピュレット家の令嬢、ジュリエットの侍女をしている。彼女の何が、変わってるのかと言うと、それは、前世の記憶を持つ転生者であること。彼女がそのことに気づいたのは、6歳のある日のことであった―――
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この頃には既に、自分が知るはずもないことを知っていることにソフィアは疑問に思っていた。勿論、周りにも白い目で見られ始めていた。そんなある日に、出来事は起こったのだ。
「キャピュレットの犬め!お前なんか、すぐにくたばるがいい!!」
「何言ってるんだ、人間のクズが。お前なんぞ、虫けら以下だ!」
「「なんだと!!」」
町の広場でモンタギューの者とキャピュレットの者が出くわしてしまったのだ。この両家は、永久に争い続けてるだろうと言われてるほどの犬猿の仲だ。その為、その家の者さえも犬猿の仲だ。特に若い者は、街などで出会っただけで小競り合いを始める。今回もそうだ。
「キャピュレットなどモンタギューの敵などではないわ!!」
「それは、こっちのセリフだ!!」
そう、この時に思い出したのだ。ソフィアは、自分は前世で何をしていて、この世界があの名作『ロミオとジュリエット』の世界であることを・・・