8:作戦前夜〜1〜
総司は一人部屋にこもっていた。
そこへおおきな足音が近づいてきた。
「入れるぞ、総司。」
総司の想像した通り、歳三だった。
中から障子を開ける。
歳三はするりと、総司の部屋に入った。
適当な所に歳三は座る。
向き合うように総司が座り、お茶を出す。
二人はしばらく、たわいもない話をした。
総司も普通に笑っている。
総司が普段笑うときは何かを隠すときだ。そうして周りを怯えさせる。
新選組の沖田総司は怖い奴だと言われるために。
そうなってくれと頼んだのは他でもない歳三だった。
だが、総司はそのために隊士からも昔からいる、幹部からも普通に話せる人が消えていった。
今日の会議でもそうだった。
歳三が言わんとしていることを正確に読み取り、先手を打ち憎まれ役を買ってでた。
歳三は総司に向かい、くちを開きかけた。
しかし、総司が先に話し出した。
「いいんです。近藤さんや土方さん、一君がいるから。僕にはそれ以上あるともったいないです。」
歳三はもう、なにも言えなかった。
再びなんでもないようなことを二人は話していた。
真夜中になるまで二人は語っていた。