7:人体自然発火現象〜4〜
総司が真顔で言った。
「この間、斬首にすると決めたあの人にやってもらいましょう。」
新選組の隊の決まりは厳しい。
得に敵前逃亡は切腹か斬首という恐ろしい末路しか残されていない。
そして、この間池田屋に御用改に入った時、敵前逃亡者が出てしまったのだ。
もちろん、見逃すわけにはいかない。
歳三はその人に斬首を命じた。
総司が切ることになっていた。
誰もなにも言えず黙っている。
総司が頬を緩めた。
「どうせ死ぬのでしたら、新選組のためになってもらいましょう。」
恐れるような眼差しが総司に集まった。
それを受けても、総司は反応しない。ただ笑顔のままで勇と歳三を見つめている。
しばらく、沈黙が訪れる。
左之助が気まずそうにめを伏せた。
斬首を言い渡されたのは、十番隊の隊士だからだ。
左之助はもちろん、その人を助けたい。
「三日だ。三日だけ囮をすれば斬首を辞めて欲しい。」
左之助が歳三を見つめてそう言った。
その後、総司と左之助の意見を取り入れた案が歳三から出された。
勇がそれに決定した。
風が強く吹いていた。