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6:人体自然発火現象〜3〜
新選組のなかでは問題が上がっていた。
人体自然発火現象が人為的な現象だとすれば、犯人を捕まえなければならない。
だが、本当に自然発火だとしたらどう解決すればいいのか。
誰もが考えることに疲れはじめていた。
「あー!もう、辞めだ辞めだ!」
考えることが苦手な平助が声をあげた。そして、頭をかきながら歳三に向き直る。
「誰か囮になればいいじゃん!」
平助がさらりと言う。
が、その案は大変危険だということに、平助は気がついていない。
「お前な人の話をよく聞いていたか?」
鬼のように額にしわを寄せて歳三が平助をみる。
人体自然発火現象は一度火がつけば水をかけても、消えないのだ。
囮になるイコール死を意味する。
つまり、隊士を一人殺すことになる。
年中、人手不足の新選組がそれだけのために隊士を失うなんてことは出来ないしやりたくない。
平助は歳三の顔を見て黙りこくってしまう。
「じゃあ、さ。」
総司がくちを開いた。
考えがまとまったときの顔をしている。
皆はとても嫌な予感がした。