40:仲間〜4〜
ー 裏切りはいつか誠になる。
光矢の母親が暗太に言った言葉だ。
暗太はそんなことをしんじなかった。
恨めしそうに光矢を睨んでいた暗太は突然、笑いだした。
「刀を構えろ、光矢‼︎どちらが誠か刀で決めようじゃないか‼︎」
覚悟を決めた光矢が進みでる。
光矢は一人だった。
だけど一人では無かった。
新選組の仲間がいた。
たくさんの人の未来があった。
光矢は刀を構えた。
二人は向き合った。
川の流れる音が静かな空間に唯一聞こえた音だった。
二人は同時に動き出した。
何度も何度も刀がぶつかる。
空には月が笑うかのように浮かんでいる。
下からすくい上げるように振られた刀が光矢を切り裂いた。
光矢が転がる。
血を流している。
「よくやったよ光矢。じゃあね。」
暗太が刀を振り上げた。
光矢は力を振り絞り刀を暗太に刺した。
鈍い感触がして暗太が川に落ちる。
「兄上‼︎」
思わず光矢は暗太に手を差し伸べた。
掴めた。
だけど、暗太が振り払った。
「気安く、触れるな、裏切り、者。」
それが暗太の最後の言葉だ。
長い長い夜が明けた。
光矢は倒れこむ。
「しっかりしろよ!!」
平助が光矢を抱き上げた。
それを最後に光矢は気を失った。