37:仲間〜1〜
暗太は笑いだした。
「どうした、光矢?僕が、怖いのかい?」
楽しそうに笑う暗太の頬を刀がかすめた。
総司とはじめが立っていた。
鋭い視線にも慣れっこな総司はひょうひょうとしている。
「なにさ?そんなに意外かな。僕らがいること。」
平助が教えてくれたおかげで幹部が素早く動けた。
総司達に続いて新八や左之助、信太郎がくる。
暗太が頬を抑えながら総司をにらんだ。
「ひどい!ひどいよね、僕の顔に傷をつけるなんてさぁ‼︎‼︎」
ギラギラと目を光らせ暗太がいい散らす。
ゆっくりとした動作で暗太が総司に近寄った。
「君達は人間なんだよ?そんな卑しい身でありながら僕に刀を向けるなんて、許されない!」
暗太が二人に飛びかかろうとした。
それより早く光矢が大地を蹴る。
その勢いで暗太の横っ腹に強い蹴りをお見舞いした。
暗太はよけきれず、転がってゆく。
河原に土煙が上がった。
暗太が立ち上がる。
そして光矢を睨みつけた。
「光矢なの?あの怯えた顔は何処にやったの⁉︎」
暗太が鎖を振り回した。
光矢に当たるかと思われた。
鉄と鉄がぶつかる音が響いて何かが欠けた。
新八がいた。
「刀が欠けちまった!」
新八が顔をしかめた。
信太郎もいる。左之助も光矢を守るように立っていた。
「お一人で頑張らないで下さい!」
信太郎が光矢に言った。
光矢は訳が分からなくてただ呆然としていた。